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 失敗しない機器選び  -プランを立てる-
プランを立てる|スペックを調べる最終決定をする 

プランを立てる
オーディオかホームシアターか
単品コンポーネントかミニコンポか
端子を確認しよう
バランスよく組み合わせよう
無駄なく、無理なくシステムアップしよう
機能と音質、どちらを優先するか
組み合わせ上の注意点
ちょっとこだわってみよう
 
 
私は大阪市内の某家電量販店でオーディオ(ステレオ※)/ホームシアター製品の販売に携わっていますが、どのような製品を買えばいいのか分からない、あるいは、間違った知識から機器の選択を誤りそうになるお客様が結構多いという現実に直面しています。
その原因のひとつに、身近に相談する人がいないために、正しい情報が得られないということが考えられるので、そういった初心者でも、自分に合った機器をしっかり選択できるよう、プランの立て方から、スペックの見方、最終決定をする際の注意点を、解りやすく紹介することにしました。


※ オーディオとは、聴こえるという英語の「Audible」が語源で、人が音として感じる周波数の波のことです。それに対して、ステレオとは、立体音響という意味の「Stereophonic」が語源で、基本的には2台のスピーカーで立体的に音場や音像を創り出すことを指します。
ステレオ再生装置は長い間、オーディオ信号のみを扱い、かつ2チャンネルであったため、オーディオとステレオが同義語として扱われてきました。そこで、この項では音声だけを扱う2チャンネル再生装置をオーディオ製品、オーディオアンプと呼ぶことにします。
 
■「オーディオホームシアターか」をまず決めよう
テレビの音をもっといい音で聴きたいが、どうしたらいいの?」という初心者の質問が結構多いのですが、この質問こそ機器選びの原点です。
それにはアンプとスピーカーさえ用意すればいいのですが、ポイントはどのようなアンプを選ぶかです。アンプにはオーディオアンプとAVアンプがあって、どちらを選ぶかで楽しみ方が変わってきます。このことはテレビとの組み合わせだけでなく、これからいい音で音楽や映画を楽しもうという人にとって、最初に決めなければならない課題です。
その点についてもう少し詳しく触れましょう。
オーディオアンプは、CDなどの2チャンネルソースの演奏を目的にしたもので、接続できるスピーカーは左右の2台です。このアンプを使った場合、2台のスピーカーの間に音場が拡がり、そこにバーチャルなステージを創り出すことができます。

一方、AVアンプはDVDBDに収録されている映画の鑑賞を主な目的にした、ホームシアターのためのアンプです。前後左右に配置した5台以上のスピーカーを接続して、リスナーを音で取り囲んで、まるでシーンの中にいるような音場空間を創出します。

オーディオの音場


ホームシアターの音場
そのため、映画の雰囲気をより深く味わうには、このAVアンプが適しています。もちろん、CDなどをステレオ(2チャンネル)で楽しむこともできます。

それなら最初からAVアンプを買えばいいように思われますが、そう単純ではありません。AVアンプはデコーダーや映像回路など、オーディオアンプにはない回路が搭載されている上に、ごく安価なものを除いて7チャンネル分、あるいは9チャンネル分のアンプが搭載されています。そのため、同じ価格なら1チャンネル当りのクォリティはオーディオアンプの方が断然上なのです。
さらに、AVアンプがその特徴を発揮するのは、少なくとも5台以上のスピーカーや、重低音専用スピーカーであるサブウーファーが備わったときで、用意するスピーカーの数も多くなり、金額が嵩みます。

音楽はいい音で楽しみたいし、ホームシアターにも魅力を感じるのは当然の心情ですが、両方を欲張るとびっくりするほど高額になってしまって、思わずため息が出てしまったという経験をされた人は少なくありません。しかし、オーディオにするかホームシアターにするか、この関門を越えない限り、機器選びは前進しません。
そこで、私なりの決め方をご紹介します。

<オーディオアンプを選のがいい人>
・CDなど音楽を聴くのが主目的である人
・限られた予算の中で、なるべくいい音を楽しみたい人
・たまには映画も鑑賞するが、サラウンドにこだわらない人
※ オーディオアンプでも、DVDやBD、テレビ放送を2チャンネル再生で楽しめます。ただし、テレビとの接続は、テレビの音声出力端子の種類を確かめ、その出力に見合った入力端子がアンプに備えられていることを確認してください。
※ 近い将来、ホームシアター導入の可能性がある人は、オーディオアンプが不要になるので、AVアンプを購入する方が得策です。

<AVアンプを選ぶのがいい人>
・映画の鑑賞が主目的である人
・映画のシーンの中にいるような雰囲気にどっぷり浸りたい人
※ AVアンプは、オーディオシステムの基本構成で紹介したCDプレーヤーやレコードプレーヤーなども接続できます。
(ただし、「PHONO」端子がないアンプでレコードを演奏するには、単品売りのフォノイコライザー・アンプが必要です)
 
■単品コンポーネントかミニコンポか
オーディオやホームシアター製品には、単品コンポーネントとセット販売の製品があります。
単品コンポーネントとは「機器の種類と役割」で紹介したような、CDプレーヤーやアンプ、スピーカーなど、システムを構成する機器を個別に購入できる製品です。
しかし、個々の機器を組み合せてシステムを構築するのは、初心者にとってむずかしいので、メーカーがそれらをバランスよくセットして販売する形態の製品が誕生しました。オーディオ製品ではミニコンポ、ホームシアター製品ではパッケージと呼ばれるカテゴリーがこれに当てはまります。

ミニコンポやホームシアターパッケージは、比較的安価で、操作性や機能性といった点でさまざまな工夫がなされているので、初心者にとっては扱いやすい製品です。しかし、製造コストが低く抑えられているので、音質面では限度があります。
音質の良いものを探すなら単品コンポーネントになります。機器の選択にはある程度の専門知識が必要ですが、オーディオに詳しい知人や販売員にアドバイスをしてもらう、あるいは、このサイトをしっかり読んでもらえば、そんなにむずかしいことではないので、ぜひチャレンジしてみてください。

なお、音質に対する要求には個人差があります。ミニコンポで十分満足できる人、単品コンポでないと満足できない人、単品コンポでもかなりグレードの高いものでないと満足できない人など、人さまざまです。基準は自分にとって満足できるかどうかなので、必ず試聴して、納得のいく製品を選ぶようにしてください。
 
■端子を確認しよう
オーディオでもホームシアターでも、アンプがシステムの中心です。そのため、アンプには外部機器を接続する種々の端子を備えています。そして、端子にはさまざまな種類があり、その種類によって扱う信号の種類も異なります。そのため、同じ種類の端子が両者に備わっていないと、アンプと外部機器との間で信号をやり取りすることができません。
※ ただし、アナログの場合は、変換ケーブルや変換アダプターを使えば、形状の異なる端子間(例えば、RCAピンとステレオミニ)で信号のやり取りができます。

手持ちの機器が接続できない、あるいは、将来考えられる機器の増設に対応できないといったこと起こらないよう、アンプの端子にはどのようなの種類があるかを知り、そして、アンプを購入する際はその数量をチェックしましょう。
アンプの主な端子には次のような種類があります。

<アナログ端子>
ソース機器との接続のため標準装備されるのが、右の写真にあるRCAピンジャックと呼ばれる端子です。端子の色は白と赤が使われ、白が左チャンネル、赤が右チャンネルです。
(AVアンプのマルチチャンネル入力やプリアウト出力はいろんな色が採用されますが、左右のチャンネルは白と赤です)

この種の端子は大別して、
・数百mV程度の信号を扱う「LINE系」端子と
・レコードプレーヤー専用の「PHONO」端子
があります。
(一部のアンプには、これら以外にプリアンプの出力を取り出す「PRE OUT」やメインアンプに直接入力する「MAIN IN」などもあります)。
なお、アナログ端子は1チャンネルにつき1個の端子で対応します。

アンプのアナログ端子
リアパネルに「CD」とか「TUNER」「MD」「TAPE」「AUX」「LINE」などと表示されている端子が「LINE系」端子です。「LINE-1」「LINE-2」と書かずに、「CD」「TUNER」などと具体的な機器の名称を表記してあるのは、どの端子にどのソース機器が接続されているかを覚えやすくするためです。
これらの端子は名称は異なっても電気回路的には同じなので、「TUNER」の端子にCDプレーヤーを接続するなど、表示とは異なる機器を接続しても問題はありません。

なお、MDデッキやテープデッキなど、録音と再生を行なう機器用には、入力「IN」または「PLAY」と、出力「OUT」または「REC」の端子がペアリングされています。この「IN」にCDプレーヤーなど再生専用機を接続しても構いません。
なお、「CD」や「TUNER」「AUX」などは入力端子ですが、再生専用機を接続する端子は「IN」という表示が省略されています。
<デジタル端子>
デジタル信号を出し入れする端子で、古くから採用されてきたのが光デジタル端子と同軸デジタル端子です。これらの端子はAVアンプにはほぼ標準装備されていますが、オーディオアンプは装備している製品と装備していない製品があります。

デジタル信号はソースに記録されている全チャンネルの音(CDは2チャンネルで、DVDやBDは5.1チャンネルあるいはそれ以上)は、1つの信号の流れにまとめられているので、どれだけチャンネル数が多いソースであっても、1個の端子で間に合います。
なお、同軸デジタル端子の色はオレンジ色が用いられます。

ところで、光や同軸のデジタル端子が装備されていても、AVアンプとオーディオアンプでは扱えるデジタル音声フォーマットの種類は異なることを覚えておいてください。

デジタル端子
(左 同軸、右 光)
AVアンプはDVDやBDに採用されているDolby DigitalやDTS、テレビ放送に使用されているAACのほか、MP-3やCDに採用されているPCMなど多くの音声フォーマットに対応しています。主要なデジタル音声フォーマットで伝送できないのは、BDに採用されているDolby TrueHDやDTS-HD Master Audioといったロスレス圧縮くらいです。
それに対して、オーディオアンプはPCMにしか対応していません。
※ デジタル音声フォーマットについては「用語集」で解説しています。

HDMI 端子はAVアンプやテレビ、BDプレーヤーなどホームシアター関連機器に装備されている端子です。
HDMI は家電やAV機器向けのデジタル映像・音声の入出力に関するインターフェースの世界規格で、デジタル映像信号やデジタル音性信号の伝送だけでなく、機器間の制御信号も伝送します。
ハイビジョン映像やロスレス圧縮であるDolby TrueHDやDTS-HD Master Audioの伝送は、この端子を使って行ないます。

HDMI端子
<スピーカー端子>
スピーカー端子は大別して、ネジ式とプッシュ式に分かれますが、どちらもスピーカーケーブルの導線をむき出しにした先バラであれば接続できます。
問題はクォリティです。ネジ式はケーブルとターミナルとの接触面積が広く、かつ、しっかりとケーブルを締め付けられるので音質的に有利です。そのため、単品アンプなど音質にこだわったアンプはネジ式を採用しています。

ネジ式スピーカー端子

プッシュ式スピーカー端子

先バラスピーカーケーブル
 
■バランスよく組み合わせよう
水路にネック(細い箇所)があれば、流れる水の量はそのネックの太さで決まります。音の流れもこれと同じです。音声信号はソース機器からアンプ、そしてスピーカーへと流れて行きます。このときシステム全体の音質の上限は一番レベルの低い機器でほぼ決まってしまいます。
つまり、上手に音の良いシステムを組むには、一点豪華主義ではなく、各コンポーネントをうまくバランスさせることが大切です。

それではバランスの良いシステムとはどのようなものかということになりますが、特に具体的な基準はありません。強いて言うならば、価格配分くらいです。というのは、音を良くしようとすると、良い部品を使ったり、物量をつぎ込んだりしなければならず、それが価格にはね返ってくるからです。
しかし、価格配分といっても、それほどシビアなものではなく、ごくごく大まかなものですが、一般的に言われる価格配分は次のようなものです。

<オーディオシステム>
アンプはスピーカーの1台 〜 ペアの価格(スピーカーが1台5万円ならアンプは5〜10万円)
CDプレーヤーはアンプより多少安目

<ホームシアターシステム>
アンプ:フロントスピーカーL/Rの合計よりやや安い 〜 合計の1.5倍くらいの価格

※ ホームシアターの場合、価格配分もさることながら、各スピーカーの選択に注意が必要です。
その注意とは各スピーカーの音色を揃えることです。その理由を二人の俳優が会話をしながら画面左から右に歩いているシーンで簡単に説明しましょう。
最初、二人の声は左スピーカーからのみ再生されますが、二人が移動するにつれて、徐々に左スピーカーの音量が小さくなるのとは反対に、センタースピーカーの音量が上がってきて、二人が画面中央に達したとき、センタースピーカーからのみ声が出てきます。さらに右に向かって歩けば、センタースピーカーの音量が小さくなっていき、右スピーカーの音量が大きくなっていきます。
このように各スピーカーの音量に変化をもたせることで、音像を移動させています。

もしも、左右のスピーカーとセンタースピーカーの音色が違うと、歩いている途中で声の質が変わってしまいます。また、二人の声が両方のスピーカーの間から聴こえるときは、2つのスピーカーから出た音が合成されたもの(この2つのスピーカーでステレオ再生をしているのと同じ)なので、音色は曖昧となり、音像も不明瞭になってしまい、実在感が損なわれます。

シーンの中にいるようなリアリティある音を再現するには、音による包囲感や音像のサイズや移動を明瞭に再現することが大切で、そのためには、前方だけでなく、後方を含めたすべてのスピーカーの音色をなるべく揃えることが重要なのです。
 
■無駄なく、無理なくシステムアップしよう
音のいい機器をバランス良く揃えようとすると、金額が嵩みます。予算が多少オーバーしても、気に入ったものを購入できればいいですが、どうしても予算内に収めないといけないとしたらどうしますか。
多くの人は、妥協して予算に収まる製品を買われます。しかし、このような買い方をすると、すぐに飽きがきて、オーディオ機器が音楽を聴く道具から、単なるインテリアになってしまったり、もっといいものに買い換えたいという衝動にかられたりします。

そこで、そういった破目に陥らないための提案がステップアップ方式です。この項では、一式を買い揃えるケースと、手持ちの機器を一部入れ替えるケースについて、その考え方をご紹介します。

<一式を買い揃えるケース>
機器に優先順位を付けて、順位の高い機器は希望のものを選び、その他の機器はランクダウンさせて、予算内に収めるのが合理的です。当然、最初はシステムとしてアンバランスですが、ランクダウンさせた機器を追々グレードアップして、最終的に満足のいくシステムに仕上げていけば、大きな無駄もなく目標に到達できます。
それではどの機器を優先させるかを考えてみましょう。それには機器の性格や寿命を知れば、自ずと結論は出ます。
・スピーカー
スピーカーは楽器と同じで、人の声が人によって違うように、それぞれが固有の音色をもっていて、かつ、システム全体の音を一番大きく支配します。そして、大事に使えば、20年あるいはそれ以上ももちます。

・アンプ
スピーカーの振動板を信号通りに動かして、スピーカーの良さを引き出すのがアンプの重要な仕事です。優れたアンプほどスピーカーをうまく歌わせることができます。寿命は個体差がありますが、目安は10年程度です。

・CDプレーヤー
ディスクに刻まれたデジタル信号を正確に読み取り、それをどれだけ正しく元のアナログに復元してアンプに送れるかがCDプレーヤーの能力です。寿命はアンプ以上に個体差が大きく、目安は7年ほどです。

ということで、当初から求める音になるべく近い音が得られ、かつ、それを長い間楽しめるという観点から優先順位を付けるとしたら、自ずと決まってきますね。
その後のグレードアップは、最も弱点となる機器を入れ替えるか、あるいは、故障するまで使い続け、寿命が尽きたら入れ替えするか、状況に応じて対応してください。

<手持ちの機器があるケース>
こちらは手持ちの機器の中で使えるものは残し、一部を順次交換していく方法です。
何を残し、何を入れ替えるかは、システムが置かれている状況により異なりますが、この項では、ミニコンポからのグレードアップを例に説明します。なお、このミニコンポは「アンプ本体」(アンプとCDプレーヤー、チューナーの複合製品)とスピーカーで構成されていると仮定します。

・CDプレーヤーを入れ替える場合
アンプ本体内のアンプとチューナーはこれまで通り使用するので捨てないでください。
使用方法は、
・まずCDプレーヤーのアナログ出力とアンプ本体の「LINE系」のアナログ入力端子を接続して、
・CDを演奏するときは、アンプ本体の入力切換えをCDプレーヤーを接続した入力端子と同じ名前の入力を選び、FM/AM放送を楽しむときは従来の方法で演奏します。
アンプ本体にデジタル入力端子が装備されていても、新しいCDプレーヤーのDAコンバーターの方がクォリティが上なので、アナログ接続の方が音質的には優れています。
(チューナーを入れ替えるときも、これと同じで、新しく購入したチューナーの出力をアンプのLINE系」のアナログ入力に接続します)

・アンプを入れ替える場合
こちらのケースは、アンプ本体内のCDプレーヤーとチューナーをこれまで通り使用します。
使用方法は、
・これまで使ってきたアンプ本体の「LINE OUT」端子(「OUT」とか「REC」と表示されている端子)と新しいアンプの「LINE系」のアナログ入力端子を接続します。
・ソースの切換えは従来のアンプ本体で行ない、新しいアンプの入力は接続した端子名を選びます。音量等の調節は新しいアンプで行ないます。

・スピーカーを入れ替える場合
アンプ本体のみを残し、スピーカーを新しいものに入れ替えてください。操作方法は従来と同じです。
 
■機能と音質、どちらを優先するか
最近のオーディオを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。特に目立つのが、パソコンを初めとして、デジタルオーディオプレーヤーやスマートフォンなどのデジタル音源の普及、また、システムをネットワークに組み込むことで、インターネット上に上がっているさまざまなコンテンツを手軽に楽しめるようになってきました。

そんな中、ユーザーの製品選びの基準も、多岐に亘ろうとしています。希望する音質と機能が備わっていれば問題はないのですが、そう願い通りににならないこともあります。最も誤った機種選択をしそうなのが、希望する機能が備わっていないと、端からその製品を選択肢から外してしまう選び方をすることです。

ひょっとすると、選択肢から外した製品の中に、一番気に入った音のする製品があるかもしれません。しかも、その製品に何がしかの機器を追加すれば、希望する機能が満足できるかもしれないのです。

例えば、iPodをいい音で聴きたいとしましょう。最近のAVアンプならほとんどがiPodに対応しているので選択肢を狭めることはありませんが、オーディオアンプでiPodに対応している製品はごくわずかで、ほとんどが非対応です。ところが、この非対応のアンプでもiPodドックを追加すれば希望は叶えられます。

さらに見方を拡げましょう。iPodに保存されている楽曲は、基本的にパソコンに保存されているはずです。しかも、パソコンに保存されている楽曲の方がiPodよりも多いはずです。そこで、音源をiPodからパソコンに変更すれば選択肢はずっと拡がります。
パソコンとアンプとのインターフェースにUSBオーディオ プロセッサーやUSB端子付きDAコンバーターがあります。これらを使用すれば、どのようなアンプでもパソコンに保存されている音楽を再生することができます。

機能と音質、どちらを優先するかに正解はありません。ご自身が最も大事と思われるものを優先してください。
ただ、オーディオやホームシアター機器は、一度買ったら、5年、10年使うものですから、後悔しないようじっくり検討してください。
 
■組み合わせ上の注意点
単品コンポネントは、アンプはA社、CDプレーヤーはB社、スピーカーはC社というように、異なるメーカーの製品を組み合わすことが多いので、機器間の信号のやり取りが問題なくできるよう、ケーブルの接続や電気的マッチングなどに関する規格はほぼ統一されています。従って、特殊な業務用機器と組み合わせない限り、自由に組み合わすことができます。
しかし、それでもなお規格以外のところで、組み合わせる際に気をつけるべき点が若干あるのでご紹介します。

<CDプレーヤーとアンプ>
この組み合わせに関しては、特に気をつけなければならない点はありません。

<レコードプレーヤーとアンプ>
「PHONO」端子を装備したアンプを選んでください。
この端子の回路には、フォノイコライザー・アンプが搭載されていて、カートリッジから送り込まれる信号を、他の機器並みの電圧に増幅すると同時に、RIAA録音特性でもって低音を弱め、高音を強めて記録された音を元のバランスに戻してくれます。
アンプに「PHONO」端子がない場合は、単売されているフォノイコライザー・アンプを用意してください。
プレーヤーの出力ケーブルをフォノイコライザーの入力に接続し、その出力をアンプの「LINE系」入力に接続すれば聴くことができます。
(フォノイコライザー搭載のレコードプレーヤーを使う手もありますが、音質的にグレードが高くないので、あまりお勧めできません)

なお、MCカートリッジを使用するには、MM/MCの切換えができるアンプを選んでください。切換えスイッチがないアンプの場合は、昇圧トランスかヘッドアンプを用意してください。
(「PHONO」端子はあるが、MM/MCの切換えスイッチがないアンプは比較的出力の大きいMM型カートリッジにのみ対応しています)

<アンプとスピーカー>
・アンプの出力とスピーカーの最大入力
アンプの出力とスピーカーの最大出力を合わせないといけないと考えいる人をときどき見かけますが、アンプの出力は特定の条件下で得られる電力で、測定条件が異なれば同じアンプでも2倍以上の開きがあることがあります。一方、スピーカーの最大入力は、アンプの測定とは異なる信号を10回「ON」「OFF」を繰り返しても壊れない入力値です。

つまり、両者はまったく異なった土俵で測定された値なので、合わせる必要はありません。多くの人が家庭で音楽を楽しむ音量は数ワット程度と言われています。これくらいの音量で音楽を楽しむなら、アンプの出力は余裕をみて20〜30ワットあれば十分で、スピーカーの最大入力も数十ワットあれば事足ります。
ところで、人間の聴感はワット数が倍になれば、少し大きい音として感じます。そのため、音量をどんどん上げていくと、アンプの出力は2倍、さらに2倍と倍倍ゲームで上げていかねばなりません。もしも、大音量でガンガン鳴らしたい人は、ワット数をチェックするだけでなく、実際に店頭で鳴らして、希望する音量が得られるか確認してください。

・アンプのスピーカー適応インピーダンスと使用するスピーカーのインピーダンス
アンプの仕様にスピーカー適応インピーダンスという項目があります。通常、4Ω〜16Ωというように、ある幅をもって書かれています。これはアンプを安全に動作させるにはこの範囲のインピーダンスのスピーカーを使ってくださいという意味をもっています。
家庭用スピーカーは8Ω以下がほとんどなので、上限のインピーダンスは気にしなくてもかまいません。問題は下限のインピーダンスです。記載されたインピーダンスよりも低いインピーダンスのスピーカーを使用した場合、構長時間にわたって大音量で鳴らすとアンプの温度が大幅に上昇して、トラブルの原因になりますので、なるべく範囲内で組み合わせてください。

ただ、本格的なオーディオアンプは、ほとんどが4Ωまで対応でき、スピーカーもほとんどが4Ω以上なので、組み合わせに困ることはありません。しかし、安価なオーディオアンプや多数のパワーアンプを搭載しているAVアンプは下限が6Ωのものが多い傾向にあります。

※ 適応インピーダンスよりも低いインピーダンスのスピーカーを使用すれば、即座に故障するとかトラブルが起こるというののではありません。逆に、範囲内のスピーカーを使用すれば絶対に安全というものでもありません。
アンプを放熱しにくい狭い密閉空間に置いて大音量で長時間鳴らせば、アンプのプロテクターが作動したり、壊れたりする可能性がありますが、その確率は適応インピーダンスよりも低いインピーダンスのスピーカーを使用したときの方が高くなるだけです。
もしも、適応インピーダンス以下のスピーカーを使用している人がいるとしたらは、アンプが異常に温度上昇しないような環境にアンプを設置したり、温度を時折チェックするなど温度管理に気を配ってください。


<AVアンプとテレビ>
比較的新しいAVアンプとテレビをHDMIケーブルで接続すれば、テレビのリモコンで、テレビの電源と連動して、AVアンプの電源を「ON」「OFF」できる、あるいは、テレビのリモコンでAVアンプの音量が調節できるなど、さまざまな連動がメーカーの異なる組み合わせでも可能になってきました。
これはHDMIコントロールと呼ばれるもので、最近では多数のメーカー間で機能するようになってきましたが、一部のメーカー間では未だに機能しない組み合わせもありますので、この便利機能を享受したい人は事前にチェックしてください。
なお、このコントロールが機能しない組み合わせは、連動機能が働かないだけで、アンプを介してテレビに映像を映すなどの基本動作に関しては問題はありません。

また、HDMIにはARCという機能があります。AVアンプとテレビがこの機能を有していれば、テレビで受信した放送の音声をHDMIケーブルを介してAVアンプに送り込めるので、テレビの音声出力とAVアンプの音声入力をアナログケーブルか光ケーブルで接続する必要がありません。新たにAVアンプとテレビを購入される人はこの項目もチェックしてください。
 
■ちょってこだわってみよう
音をもっと良くしたいとき、どのようなことを考えますか。ケーブルをグレードアップしたり、インシュレーターを活用したりと、いろんな方法があります。その多くは、新しいものに替えるのにほとんど制約はありません。制約があるとすれば、スピーカーケーブルで、ケーブルの太さはターミナルに入るものを選ばねばならないといったくらいのことですが、これとて、バナナプラグを使えば問題は解消できます。
ところが、製品によっては、やりたくてもできないものがあります。この項ではそれらについて触れてみたいと思います。
<着脱式電源ケーブル>
アンプやCDプレーヤーなどの機器は壁のコンセントから電力を供給して、はじめて動作しますが、それに欠かせないのが電源ケーブルです。ところで、アンプやCDプレーヤーの中には、音のグレードアップが図れるよう、電源ケーブルを交換できるタイプの製品があります。
発電所から自宅まで延々何十kmもあるのに、高々1mか2mくらいの長さのケーブルを替えたくらいで音が変わるのか、と疑問視される向きもありますが、事実、変わるのです。

IEC規格の電源ジャックと電源ケーブル
もしも、将来電源ケーブルを交換してみたいと思われる人は電源ケーブルが着脱可能な機種を選んでみてはいかがですか。カタログに「ACインレット」などと記載されている製品が、これに該当します。

なお、電源ケーブルが着脱できるタイプに、IEC規格のものと、メガネタイプのものがあります。ハイファイ用の製品で一般的なのが、IEC規格のインレットで、交換用電源ケーブルは1本1万円を下回るものから10万円を超えるものまで、たくさんの種類があります。
メガネタイプはBDプレーヤーなどに採用されることが多く、交換用ケーブルの種類は少ないです。

※IECは国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)の略で、1906年に設立された電気工学、電子工学、およびそれに関連した技術を扱う国際的な標準化団体です。

バイワイヤリング対応スピーカー>
バイワイヤリング対応スピーカーのターミナルは、写真のように、高音用と低音用(2ウェイの場合はウーファー用とツィーター用)のターミナルを備えています。
この種のスピーカーは、1組のスピーカーケーブルを使ってアンプと接続する場合(シングルワイヤリング)は、それぞれの端子のプラスとマイナス同士をショートして使用します。
バイワイヤリングにするには、そのショートを外し、2組のスピーカーケーブルでアンプとそれぞれのターミナルを接続します。
具体的には、アンプに「SPEAKER A」と「SPEAKER B」のスピーカー端子があれば、1組のスピーカーケーブルを「A」に、もう一方を「B」に接続して、スピーカー切換えスイッチを「A+B」にします。

バイワイヤリング対応ターミナル
スピーカー端子が1組のアンプでは、2組のスピーカーケーブルのプラス同士とマイナス同士を束ねて、端子に差し込んでください。電気的には「A+B」と同じです。

バイワイヤリングは、ウーファーの逆起電力がツィーターに、あるいは反対にツィーターの逆起電力がウーファーに与える影響が軽減されるため、音質的に有利だと言われています。
ちなみに、バイワイヤリングをさらに発展させたのがバイアンプです。

バイアンプは2台のアンプを用いて、ウーファーとツィーターを個別に駆動するものです。AVアンプには特定の条件下(※)でバイアンプに対応できる製品があります。
一方、オーディオアンプの場合は、もう1台アンプを用意しなければなりません。その場合、1台のアンプで音量をコントロールするには、一方のアンプの「PRE OUT」から信号を取り出し、別のアンプの「MAIN IN」に入力する必要があるので、機種選択の際要注意です。

※ サラウンドバックチャンネルを装備しているAVアンプでは、サラウンドバックチャンネルを使用しないとき、サラウンドバックチャンネルのアンプが余ります。この空きチャンネルのアンプをバイワイヤリングに利用する製品があります。
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