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 失敗しない機器選び  -スペックを調べる-
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スペックを調べる
出力
全高調波歪率
SN比
周波数特性
ダンピングファクター
PHONO最大許容入力
スピーカー適応インピーダンス
定格インピーダンス
最大入力
定格感度レベル
定格周波数範囲
クロスオーバー周波数
 
 
カタログにはスペックと呼ばれる機器の仕様が記載され、ほとんどの人が機種を選ぶ際の参考にされていると思いますので、その主要な項目の意味と見方を紹介します。
なお、このスペックはあくまで機器の基本性能を表わすものであり、また機器と機器を接続する際の参考にするものであって、音質を示すものではないということを留意してください。
 
■出力
その機器から取り出せる電力や電圧のことです。アンプの出力は電力(ワット=W)で表示され、ソース機器は電圧(ボルト=V)で表示されます。

<アンプの出力>
アンプを購入する多くの人が最も注目する項目で、出力が大きいアンプほど音がいいと信じている人は意外に多いようです。おそらく、それは高級なアンプほど出力が大きい傾向にあることから生まれた誤解だと思われます。
出力が意味するのは、アンプからどれだけの電力が取り出せるかであって、そのアンプを使用すると、どれくらい大きな音量(アンプやスピーカーが歪なく再生できるもっとも大きい音量)が得られるかの目安となるものです。

ところで、出力の表示には「定格出力」「実用最大出力」「ダイナミックパワー」の3種類があり、それぞれは下の表に示した条件で測定された値です。測定条件が異なると得られる出力も変わってきますから、出力を比較する場合は、同じ測定条件の出力を比較しないと意味がありません。
定格出力実用最大出力ダイナミックパワー備考
出力時間連続30秒以上連続30秒以上0.02秒間短い時間の方が大きい出力が得られます
負荷インピーダンス任意任意任意低いインピーダンス方が大きい出力が得られますが、スピーカー適応インピーダンスよりも低いインピーダンスの表示はできません
全高調波歪率任意10%任意高い歪率の方が大きい出力が得られます
周波数範囲任意1kHz任意1kHzだけの方が20Hz〜20kHzといった広い周波数範囲を保証するよりも大きい出力が得られます
駆動チャンネル数任意任意任意チャンネル数が少ないほど大きい出力が得られます
※ 任意とあるのは、メーカーがその条件を任意に選べるという意味で、任意に選んだ条件は仕様書に記載することになっています。
※ 定格出力の全高調波歪率と周波数範囲は、実用最大出力よりも厳しい条件が採用されるのが通例です。

通常、カタログには実用最大出力が用いられるケースが多いです。それは出力を大きく表示できるからですが、本格的なアンプは定格出力も併記されます。その表記の仕方は次の通りです。
100W+100W(8Ω、20Hz〜20kHz、THD 0.1%以下、2ch駆動時)

これは8Ωのスピーカーを接続し、2つのチャンネルを同時に駆動したとき、20Hzから20kHzの広い周波数範囲にわたって1チャンネル当たり100Wの出力が得られ、それ以下の出力ではTHDすなわち全高調波歪率は0.1%以下が保証されることを意味しています。

もしも、条件を変えてこのアンプを測定すれば、例えば、インピーダンスを4Ωにすると、理論上は2倍の200Wが得られます(※)。しかし、実際は電源が供給できる電力には限界があって200Wに届かないことが多いですが、周波数を1kHz、THDを1%というように測定条件を甘くすれば200W以上という大きな出力を得られることがあります。
このように測定条件によって出力は異なりますから、出力を比較するときは測定条件が同じ値のものを比較してください。

※電源がしっかりしているアンプほど4Ωの出力は8Ωの2倍近い値が得られ、電源の貧弱なアンプほどその差が少なくなります。

それでは1ランク上の出力とはどれくらいになるのでしょうか。人は出力を10Wから20Wに上げたとき、音量が少し大きくなったと感じます。ところが、基準が50Wだと、それよりも10W大きくしても微妙な変化としか感ぜず、同様の変化を感じるには2倍の100Wが必要です。

このように人は音量の変化に対して対数的に感じますから、出力が1割や2割大きいからといって音量的に1ランク上とは言えません。最大音量が不足なら、少なくとも5割以上、できれば2倍が1ランク上と考えてください。
ただし、出力が大きいということは、その出力に見合った大きさの電源が搭載されているわけで、この電源の大きさの違いが、普段聴く小さな音量下でも、出力の大きいアンプの方がと小さいアンプよりも電源に余裕がある分、音の出方にゆとりがでます。

<ソース機器の出力>
機器から取り出せる電圧のことで、接続するアンプの入力端子を決める際の目安になります。通常、CDプレーヤーやMDデッキの出力は2Vで、チューナーやカセットデッキは数百mVです。CDプレーヤーはアンプのCD端子、チューナーはTUNER端子に接続しますが、もしもCDプレーヤーが2台あれば、1台はCD端子に、そしてもう1台は空いている「LINE系」入力端子(※)に接続して使用することができます。

※ アンプの入力には「LINE系」入力とレコードプレーヤー専用の「PHONO」入力の2種類があります。
また、「MAIN」入力端子を装備しているアンプもあります。
詳しくは前のページをご覧ください。


 
■全高調波歪率(THD)
信号の歪み=波形のゆがみの度合いを表わす代表的な項目です。
単一周波数の信号、例えば1kHzの信号を入力したとき、出力には1kHzの他に、入力されていない2kHz、3kHz、4kHz・・・といった入力信号の整数倍の成分=高調波歪が現れます。この歪成分が出力に占める割合をパーセントで表わしたのが全高調波歪率です。
従って、数値が小さいほど歪みが少ないということを意味するのですが、それが必ずしも音質の良さにつながらないことがあります。

その理由は、全高調波歪の測定には単一周波数の信号、つまりサインウェーブ=正弦波という変化の緩やかな波形の信号が使用されるのに対して、音楽信号は非常に急激な変化を伴なう複雑な波形をしていています。そのため、動的特性(※)が悪いアンプでは、サインウェーブを入力したときには見られない破綻が、音楽を再生すると起こる可能性があるからです。

※ ほとんどのアンプにはNFB(Negative Feed Back=負帰還)という回路技術が使用されています。このNFBは出力の一部を正負(プラスとマイナス)を反転させてアンプの入力に戻すことで、アンプ内で発生した歪やノイズを打ち消すもので、戻す量を増やすほど打ち消される歪やノイズの量が増え、測定データは良くなります。
しかし、このNFBはサインウェーブのように緩やかに変化する信号には有効なのですが、音楽信号のように急激に変化する信号に対しては対応することができず、逆に応答性能を悪化させ、音楽の活き活きとした表情を削いでしまいます。


また、高調波歪の検知限は5%程度と言われています。それに対してオーディオ機器の歪率はそれよりもうんと低い値が確保されています。そのため、目くじらを立てて歪率の低い製品を探すのではなく、1〜2%以下であるなら「合格」というくらいの大らかな気持ちでスペックを見比べるくらいで良いと思います。最終的には試聴して決めることをお勧めします。
 
■SN比
出力の中に含まれるノイズの割合をデシベル(dB)表示したのがSN比です。ノイズが分母なので、数値が大きいほどノイズが少ないことを意味します。
ところで、このSN比は単純に信号とノイズの比で表わされるのではなく、人間は音量が小さいとき、低音と高音が聴こえにくくなる聴感特性を持っているので、ノイズの量は聴こえにくい分だけ差し引いた値が使用されます。
これを聴感補正と呼び、測定はノイズの量は低音と高音をカットする回路を通して行なわれます。なお、そのカットする特性には、Aカーブ、Bカーブ、Cカーブがあって、同じカーブで測定された値でないと単純比較はできません。
(測定条件が明示されないときは、Aカーブが使用されたと判断していただいて間違いはありません)

聴感補正特性
なお、SN比の値はアンプの入力端子によっ異なります。Aカーブを用いたとき、比較的大きな信号が入力される「LINE系」入力では100dB〜110dB程度ですが、「PHONO」入力は小さい信号を余分に増幅するアンプ(イコライザーアンプ)が搭載されているため70dB〜90dB程度です。

ところで、SN比も全高調波歪率と同様に、その数値と聴感が必ずしも一致しないことがあります。その理由のひとつは全高調波歪率の項で説明したNFBにあり、大量の帰還量によってノイズの低減が図られた機器のSN比とNFBにあまり頼らないで得られた機器のSN比とでは、同じ数値であっても聴感上のノイズ感は異なり、NFBに頼らないアンプの方が聴感上のSN比はうんと良いように感じます。

また、SN比は無信号時に出力に現れるノイズを測定した値が用いられますが、実際の演奏状態では入力信号によって引き起こされるノイズがあり、SN比の測定結果には、この演奏状態で発生するノイズが含まれていない、というのがもうひとつの理由です
そのため、SN比の優劣は最終的には耳で聴いて判断する以外に方法はありません。
 
■周波数特性
機器の周波数に対する応答性能を示すもので、比較的良好に再生できる周波数の範囲が表示されます。
なお、その周波数範囲を外れてもレベルは下がるものの応答はあります(音は出ます)ので、その数値はどれくらい低い音、あるいは逆にどれくらい高い音まで出るかの一応の目安にしてください。

ところで、この周波数特性の広い機器は音質が良いと思っている人がいらっしゃいますが、必ずしもそうとは言い切れません。周波数特性が意味するのは、どれだけ広い周波数範囲を再生できるか、言い換えれば、どこまで低い音、あるいは高い音を再生できるかです。
つまり、周波数特性の広い機器は、狭い機器よりも、より低い音、高い音を再生できることを物語りはしているのですが、再生される範囲内の音質や音色にまで言及しているのではありません。

その例として、NFBを大量にかければ周波数特性を大幅に拡げられますが、音の活き活きとした表情が出にくいなど、データと音質が一致しないことがあります。そのため、あくまでも再生できる周波数範囲が広いか狭いかを判断する材料として捉えてください。

なお、アンプやCDプレーヤーなどは「周波数特性」という言葉が使われますが、スピーカーの場合は「定格周波数範囲」が用いられます。
 
■ダンピングファクター
スピーカーの振動板は質量があり、かつエッジやダンパーといったバネで支えられているため、慣性や共振によって勝手に動こうとします。この不要な振動を制御するアンプの能力を表わす指数がダンピングファクターで、

ダンピングファクター=スピーカーのインピーダンス÷アンプの出力インピーダンス

で求められるため、単位はありません。通常、DFと略され、値の大きいアンプほど制動力が大きく、特に低音の歯切れが良いとされています。

ただし、実際の演奏状態ではスピーカーケーブルやクロスオーバーネットワークのインピーダンスが分母のアンプの出力インピーダンスに加算されるため、実動状態でのDFはスペックよりもすいぶん小さな値になります。
従って、スペック上のDFが際立って大きい(アンプの出力インピーダンスが非常に小さい)場合、ケーブルやネットワークのインピーダンスの方が分母の数値を支配するようになるので、DFを大きくした意味合いが薄れてしまいます。そのため、DFは20以上あれば問題ないと言われています。

なお、NFBを大量にかけたアンプは必然的に出力インピーダンスが小さくなり、その結果、DFも大きくなります。このようなNFBによって大きなDFを得ているアンプは、スピーカーの逆起電力の影響を受けやすく、本当の意味での制動力があるとは決して言えません。そのため、制動力があるかどうかは実際に試聴により確認する以外に他に方法がありません。
 
■PHONO最大許容入力
「PHONO」端子に入力できる最大の電圧値のことで、値が大きいアンプほど、大きな入力信号が入っても歪なく再生できことを意味します。
ただし、違いが1割か2割だと同じレベルと考えてよく、1ランク上となると、5割増から2倍大きいものとなります。
なお、許容入力が大きいことは、大きな信号が入力されても歪にくいということを意味しているだけで、音質も優れているとは断言できません。
ちなみに、MC型カートリッジ対応のアンプは、MC型とMM型とでは許容入力の大きさが異なるので、それぞれの値が表示されます。
 
■スピーカー適応インピーダンス
アンプが安全・快適に動作する上で必要なスピーカーインピーダンスの範囲を示すものです。
詳細は前ページの「組み合わせ上の注意点」を参照してください。
 
■定格インピーダンス
スピーカーのインピーダンスは周波数によって異なるため、その代表として扱われる値です。
この定格インピーダンスはアンプのスピーカー適応インピーダンスの範囲内に納まっているか否かをチェックするのに使用します。
詳細は用語集を、適応インピーダンスに関しては前ページの「組み合わせ上の注意点」を参照してください。
 
■最大入力
スピーカーが破損する原因には、瞬時の過大入力によって振動板が過振幅を起こした結果、部品が破損することと、長時間にわたって大入力が加えられることによって、高熱でボイスコイルが焼けたり、接着剤が溶けてボイスコイルがバラバラになってしまうといったものがあります。
最大入力はこ2つの破損原因の中で、どちらかと言えば、長時間にわたって入力しても壊れないとメーカーが保証する最大の入力という意味合いが強いです。
なお、最大入力以下のレベルでも、信号をクリップ(※)させると、最大入力以下でもツィーターを破損することがあります。
※ アンプの増幅が飽和状態になって出力波形が頭打ちになり、波形が上下を刃物でスパッと切ったような状態のこと。音も歪みます。

ちなみに、一般家庭で演奏される音量は平均して数ワット程度ですから、クリップさえさせなければ数十ワットあれば十分です。
ただし、大音量で演奏する人は100ワット以上のスピーカーを選んでください。
なお、スピーカーから取り出せる音量は定格感度レベルと密接な関係があり、定格感度レベルが3dB下がるごとに入力を2倍ずつ上げなければ同じ音量が得られません。
従って、定格感度レベルの低いスピーカーを大音量で鳴らすには、より大きな信号を入力する必要があり、それに伴って最大入力の大きいスピーカーが必要ちなります。
 
■定格感度レベル
スピーカーが電気エネルギーを音のエネルギーに変換する効率の目安となるもので、単位はdBで、数値が大きいほど効率が高いことを意味します。この定格感度レベルと最大入力とで、そのスピーカーがどれくらい大きい音まで出せるかが決まります。
仮に、定格感度レベルが94dB/W/m、最大入力が50ワットのスピーカーが得られる最大の音圧レベルは111dBです。この音量はかなり耳をつんざくほどの大きさです。この音量を定格感度レベルが88dB/W/mのスピーカーで得ようとすると200Wの入力が必要です。
 
■定格周波数範囲
スピーカーがどれくらい低い音まで、またどれくらい高い音まで再生できるかの目安となるものです。
定格周波数範囲の広いスピーカーは低い音から高い音まで再生する能力があると言えますが、それがイコール、音質や音色が良いということには必ずしもつながりません。
詳細は用語集を参照してください。
 
■クロスオーバー周波数
各スピーカーユニットが受けもつ音域の境界周波数のことです。例えば、2ウェイスピーカーシステムでクロスオーバー周波数が3kHzの場合、ウーファー(低音再生用スピーカー)は3kHz以下の音を、そして、ツィーター(高音再生用スピーカー)は3kHz以上の音を主として受けもちます。
周波数の分割にはフィルターが用いられますが、このフィルターは3kHz以上の音や3kHz以下の音を完全にカットすることはできません。そのため、ウーファーには3kHz以上の音、そしてツィーターには3kHz以下の音が、レベルを下げながらも送り込まれます。
詳細は用語集を参照してください。
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