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 機器の種類と役割  -オーディオシステム-
オーディオシステム|ホームシアターシステムアクセサリー 

オーディオシステム
オーディオシステムの構成
アンプの役割
アンプの種類
CDプレーヤー
チューナー
MDデッキ
カセットデッキ
レコードプレーヤー
スピーカー
 
 
エジソンの蓄音機の実用化によってオーディオの幕が開かれました。
それは1877年のことでしたが、その後、磁気テープの開発や電波の利用など、さまざまな発明や改良が加えられ、一瞬にして消えていく音を記録したり、電波に乗せて飛ばすことによって、時空を超えて手軽に音楽が楽しめるようになりました。

そして、レーザーディスクの登場により、それまで純粋に音だけを楽しんできたオーディオの世界に映像が仲間入りし、高品位な音と映像を楽しむホームシアターが始まりました。
しかし、ホームシアターがオーディオに取って代わることはなく、今日(こんにち)では、オーディオだけを楽しむ人、ホームシアターを楽しむ人、両者を楽しむ人と、各人が自分の好みのスタイルをエンジョイしています。

このページでは音(音声)だけを再生するオーディオの機器について基礎的な説明を掲載しています。
ホームシアターに関しては次のページをご覧ください。
 
■オーディオシステムの基本構成と信号の流れ
オーディオシステムで音楽を楽しむには、「ソース機器」と「アンプ」、「スピーカー」が必要です。
ソース機器とは音源となる機器のことで、本格的なオーディオ機器では、CDを再生するにはCDプレーヤー、FM放送を聴くにはFMチューナーというように、再生するメディアごとにそれぞれ機器が分かれています。
(比較的安価で、かつ手軽に音楽を楽しみたい人のために、アンプにチューナーをドッキングさせた「レシーバー」、レシーバーにCDプレーヤーを組み合わせた「CDレシーバー」などの複合製品も市場に数多く出回っていて、これらの製品の多くは推奨するスピーカーがメーカーで用意されています)

ここでソース機器についてもう少し説明しましょう。
ソース機器は大別して、再生のみの再生専用機と、再生だけでなく録音もできる録再機に分かれます。
再生専用機には
LPレコードプレーヤー、CDプレーヤー、FM/AMチューナーなどがあり、
録再機には
カセットデッキ、CDレコーダー、MDデッキなどがありますが、最近では、パソコンやパソコン関連のUSBフラッシュメモリー、SDカードなどが加わってきました。
※オーディオ界では、プレーヤーは再生専用機、レコーダーと言うと録再機を指す慣わしになっています。

それでは、ここで信号の流れを簡単に触れたいと思います。
ソース機器から出力された音声信号はアンプに送り込まれます。このときの音声信号の種類は基本的にアナログ信号です。
アンプは入力された音声信号を増幅(より大きな電力にすること)してスピーカーに送り込みます。それはソース機器の出力信号のレベルがスピーカーの振動板を動かすに足る大きな電力ではないからです。
そして、スピーカーはアンプから送り込まれた音声信号の大きさに応じて振動板を振動させることで空気の粗密波=音を作り出すのです。

その一方で、ソース機器からアンプに送り込まれた音声信号は、アンプの録音端子(パネルでは「REC」あるいは「OUT」と表示されている)からも出力され、録再機で録音するために供せられます。
また、CDプレーヤーにはデジタル出力端子が装備されていて、そこから出力されたデジタル音声信号は直接MDデッキに送ることでデジタル録音が可能です。
 
■アンプの役割
  アンプとはAmplifier、つまり増幅器を略した呼び名で、その役割は大きく分けて2つあります。
そのひとつは、アンプ本来の役割である「音声信号の増幅」です。
前項でも触れましたように、ソース機器から出力された音声信号は微弱なためスピーカーの振動板を動かすことができません。
そこで、この微弱な音声信号をスピーカーの振動板を動かし得る大きな電力に増幅します。
つまり、アンプなくしてスピーカーから音を出すことはできないのです。カーステレオやラジオなど、スピーカーを使って音を出す機器にはアンプが必ず備わっています。

もうひとつの役割は「信号のコントロール}です。
アンプには複数のソース機器から音声信号が送り込まれてきます。そこで、聴きたいソース機器を簡単に選択できるように入力切換えの機能がアンプには備えられています。
また、音量の調整などのさまざまな調整機能も備えられています。

アンプのこの2つの役割は「プリアンプ部」と「メインアンプ部」とが別々に担っています。
プリ(前置という意味)アンプは別名コントロールアンプとも呼ばれ、ソース機器の切換えやさまざまな音の調整が主な役割で、補助的な増幅も行ないます。
プリアンプの出力を電力増幅するのがメインアンプです。アンプの最も重要な役割を受け持つことから名付けられましたが、電力増幅という意味でパワーアンプとも呼ばれます。

それではアンプのコントロール機能についてもう少し突っ込んで説明しましょう。
 

アンプのコントロール機能
プリアンプ部
入力切換え
聴きたいソース機器を選択する機能です。アンプにはソース機器を接続するための外部入力端子が備えられていて、それぞれCDやLINE、TAPE、TUNERなどといった端子名が表示されています。
入力切換スイッチを聴きたいソース機器が接続されている端子名と同じ名称の位置に合わせることで希望するメディアを再生することができます。

ボリュームコントロール
音量の調整を行ないます。このボリュームは増幅度を上げるものと解釈している人が多いです。確かに操作による結果はそうなのですが、厳密には、アンプの増幅度が大きくて一定であるため、入力された音声信号をそのまま増幅すると、とんでもない大きな音量になるので、抵抗器を使って減衰量を調節しているのです。
トーンコントロール
低音(BASS)や高音(TREBLE)の音量を増減して、好みのバランスに調整するための機能です。ただし、右の図のように中音に近い音は、変化量が少なく、低音や高音になるほど大きくなることを覚えておいてください。
また、低音と高音以外に、中音(MID)を調整したり、うんと低い音(SUPER BASS)を調整したりする機能を備えた機種もあります。

バランスコントロール
左右の音量差を調整するためのものです。

ラウドネスコントロール
人間の耳は音量が小さくなると、中音に比べて低音と高音の感度が下がります。そのため、小音量で再生すると低音と高音が聴こえにくくなります。(等感度曲線をご参照ください)
この問題を解決するため、低音と高音を増強するのがこのコントロールの目的です。ラウドネスコントロールを備えていない機種はトーンコントロールで代用してください。

ダイレクト(スイッチ)
トーンコントロールやバランスコントロールなどの回路を音声信号が通過するとき音質が若干劣化します。
そこで、これらの回路バイパスして音質の劣化を防止しようというのがこのダイレクトスイッチです。

    トーンコントロール特性

    ラウドネスコントロール特性

メインアンプ部

・スピーカー切換え
スピーカー「A」、スピーカー「B」というように2系統以上の出力端子を備えている機種の場合、このスイッチの切り換えで、いちいちスピーカーケーブルをつなげ替えせずに希望するスピーカーを鳴らすことができます。
また、2組のスピーカーを同時に再生することもできます。
このとき、2組のスピーカーの合成インピーダンスがアンプのスピーカー適応インピーダンスを下回らないように注意してください。
ちなみに、合成インピーダンスは8Ωのスピーカーを2組同時に鳴らす場合の合成インピーダンスは8Ωの半分の4Ωになり、6Ωを同時に鳴らす場合は3Ωになります。

※ここに紹介したコントロール機能はアンプの代表的なものです。
機種によっては装備していない機能があったり、逆に、紹介していない機能を備えている機種があったりします。
取扱説明書には使用方法が詳しく記載されているので、分からないときは読んでください。
 
■アンプの種類
プリメインアンプ(インテグレーティッドアンプ)
プリアンプ部とメインアンプ部を一つの筐体に納めたアンプのことで、通常、アンプと言えばこのプリメインアンプを指します。
アンプの機能をすべて備えているのでインテグレーティッドアンプとも呼ばれます。

プリアンプ(コントロールアンプ)
プリアンプ部を一つの筐体に納めたアンプのこと。価格的に高級なものがほとんどで、音質的に優れたものが多いです。
より音質を究めようとしたり、気に入ったメインアンプと組み合わせて、自分の好みの音に仕上げたりしたい人向けのアンプです。

メインアンプ(パワーアンプ)
メインアンプ部を一つの筐体に納めたアンプ。こちらも高級なものがほとんどです。
通常はステレオアンプ(2チャンネル分=2台のメインアンプが入っている)ですが、1チャンネル分しかパワーアンプが入っていないモノーラルアンプもあります。
メインアンプの最も重要な役割が「電力増幅」なので、パワーアンプとも呼ばれます。

なお、プリアンプとメインアンプは、1台分のアンプの2つの機能を別々の筐体に分けて納めているのでセパレートアンプと呼ばれます。

プリメインアンプ

プリアンプ

メインアンプ
 
レシーバー
プリメインアンプとチューナーを一つの筐体に納めた複合製品です。FM局の多い米国ではポピュラーですが、日本では機種数は少ないです。

CDレシーバー
レシーバーにCDプレーヤーを合体させたものです。複雑な配線をしなくてもいいのでメカ音痴の人でも容易に接続できて扱いやすいです。
 
■CDプレーヤー

CDプレーヤー
コンパクトディスク(CD)を演奏する再生専用機です。CDの仲間にはオーディオCD(普通の音楽CD)他に、スーパーオーディオCD(SACD)やCD-R、CD-RW、MP3 CD、WMA CDなどがあります。
CDプレーヤーはオーディオCDは必ず再生できますが、それ以外のメディアや音声のファイル形式に対しては、製品によって再生できるものとできないものがあるので、オーディオCD以外のものを再生する可能性がある場合は、購入の際よく調べてください。

SACDロゴマーク
※SACDを再生できるプレーヤーはフロントパネルにSACDのロゴマークが印されています。
※先にも触れましたように、プレーヤーという呼称は再生専用機のことで録音はできません。市場に出回っているのはほとんどがCDプレーヤーです。
CD-R等に録音したいときはCDレコーダーが必要です。
 
■チューナー

チューナー
FM放送やAM放送を受信し、再生するための機器です。
放送を受信するには必ずアンテナが必要です。製品にはFM用のT字型アンテナやAM用のループアンテナが付属しているので、必ずそれぞれのアンテナを接続してください。
もしも放送をうまく受信できなかったら、アンテナの向きを変えたり、アンテナを窓際に移動したりして、電波をうまくキャッチするようにしてください。
ちなみに製品に付属のアンテナは簡易アンテナで、電波をキャッチする能力は高くありません。
付属のアンテナではうまく受信できないときは、屋外用の専用アンテナの設置を検討してください。
なお、FM用の屋外アンテナはテレビのVHF用アンテナよりもひと回り大きいですが市販されています。しかし、AM用の屋外アンテナは市販されていません。
 
■MDデッキ

MDデッキ
ミニディスク(MD)に音声信号を記録(録音)したり、録音された音楽を再生する機器です。一時は一世を風靡した録再機ですが、今では市販されている製品はきわめて少なくなってしまいました。
MDには「スタンダードMD」と「Hi-MD」が2種類があります。
スタンダードMDは一般的なMDで、すべてのMDデッキがこのこのMDに対応していいます。
一方、Hi-MDはCDと同等のクォリティの音を記録できる非圧縮のリ
ニアPCMや高い圧縮率においても高音質を実現する新しいATRACを採用した高音質MDですが、このHi-MDに対応したデッキはほとんど見られなくなりました。
 
■カセットデッキ

カセットデッキ
カセットテープに音楽を録音したり、録音された音楽を再生する機器です。
MDが出現するまではエアーチェック(FM放送などを録音すること)をするための代表的録再機でしたが、MDが登場すると、時代はCDからMDへのデジタル録音へと推移したため、録再機の主流の座を明け渡し、今ではひと握りの製品が販売されているだけになりました。
なお、カセットテープには「ノーマル」「ハイポジション」「メタル」といった種類があります。
ノーマルテープはすべてのカセットデッキが対応していますが、他の2種類のテープを使用するには、それぞれのテープの種類に対応したカセットデッキが必要です。
また、テープにはサーというテープ特有のノイズ=ヒスノイズ(テープヒス)がつきものです。このヒスノイズを低減するのがノイズリダクションですが、ノイズリダクションにはドルビーBやドルビーCなどの種類があります。
このノイズリダクションを使用する上での注意点は、録音したときと同じ種類のノイズリダクションで再生することです。もしも異なった種類で再生すると音のバランスが崩れてしまいます。
 
■レコードプレーヤー
一般的なレコードプレーヤーは、33 1/3回転と45回転のLPレコードを再生に対応していますが、ごく一部に78回転のSPレコードも再生できるものもあります。

ちなみにレコードプレーヤーは、
・レコードを回転させる「ターンテーブル」
・レコードの溝に刻まれた機械振動を電気信号に変換する「カートリッジ
・カートリッジを取り付ける「ヘッドシェル」
・ヘッドシェルを保持し、針先がレコード溝をスムーズに追従できるようにする「トーンアーム」
が主要パーツです。

レコードプレーヤーの主要パーツの名称
カートリッジとヘッドシェル、トーンアームで構成される部分を「ピックアップ」と呼びます。

通常、ヘッドシェルとトーンアームは簡単に着脱できる構造が採用されています。
これにより、音の異なるカートリッジをあらかじめヘッドシェルに取り付けておけば、曲に合わせてカートリッジを選択したり、あるいは、カートリッジを取り替えることで、同じアルバムを違った音色で楽しんだりすることが手軽にできます。

しかし、安価なレコードプレーヤーの中には、このピックアップ部分が一体化されていて、ヘッドシェルやカートリッジの取り替えができないタイプが多いです。

また、一部の高級品には、ターンテーブルやそれを回転させるモーター、それらを納めるキャビネットだけがアセンブルされた製品(言い換えればピックアップを装備していないタイプ)が「ターンテーブル」という名前で販売されています。
・カートリッジ
音の変化を溝の壁面の変化として記録したのがレコード盤です。この壁面の変化を電気に変換するのがカートリッジの役割です。
その原理を簡単に説明すると、溝の変化を針先がトレースすることで、針先が振動し、この針先の振動がカートリッジの心臓にあたる発電機構に伝えられ発電します。

MM型カートリッジ

MC型カートリッジ
この発電機構にはさまざまな種類があり、その種類によってカートリッジには発電機構にちなんだ名称が付けられています。
現在、ハイファイ用のカートリッジの主流派はMM(ムービング・マグネット)型カートリッジとMC(ムービング・コイル)型カートリッジです。

どちらも、マグネットとコイルで構成されていて、マグネットを動かして発電するか、コイルを動かして発電するかの違いですが、発電方法の違いによって、左の表のように、出力や針交換の可否に違いがあります。
MC型カートリッジの針交換は、カートリッジそのものを交換しますが、古くなったカートリッジとの交換なので価格は新品の価格よりも安く抑えられています。
 
MM型カートリッジMC型カートリッジ
出力電圧数mV0.0数mV〜0.数mV
針交換×
 
・フォノイコライザー(アンプ)
レコードにはRIAA特性という、ある決められた特定のカーブ(低音を弱め、高音を強める)で録音されています。また、カートリッジの出力はCDプレーヤーやチューナーに比べてきわめて小さいです。
そのため、元の音のバランスに戻すために低音を強め、高音を弱めると同時に、他の機器並みの電圧に増幅してやる必要があります。
この2つの作業をするのがフォノイコライザーアンプ(以下、アンプを省略)です。

アンプがこのフォノイコライザーを備えている場合、音声信号がその回路を通る入力端子には「PHONO」という名前が付けられていて、プレーヤーの出力ケーブルをここに接続して使用します。
このPHONO端子は、通常MM型カートリッジに合わせて設計されているため、MC型カートリッジをここに接続しても十分な音量が得られません。
MC型カートリッジを使用する場合は、さらに電圧を増幅する必要があり、それを行なうのが「昇圧トランス」や「ヘッドアンプ」と呼ばれるものです。
アンプの中にはヘッドアンプを内蔵していて「MM」「MC」の両者に対応した製品もありますが、内蔵していないアンプでは、MCカートリッジの出力を別売のヘッドアンプか昇圧トランスを介して「PHONO」に入力してやる必要があります。
フォノイコライザー
 
もしもPHONO端子のないアンプでレコードを演奏するときは、別売のフォノイコライザー(上の写真)を介してレコードの出力をアンプに送り込むか、あるいはフォノイコライザー内臓のプレーヤーを使用するようにしてください。
 
■スピーカー

スピーカーシステム
スピーカーシステムは、
・アンプから送り込まれた電気信号を音に変換するスピーカーユニットと、
・スピーカーユニットを保持・収納すると同時に、スピーカーユニット後方から出た音がリスナーに届かないように包み囲ってしまうキャビネット(エンクロージャーとも呼びます)が主要構成パーツで、
なお、マルチウェイ・システムの場合は周波数を分割するデバイディングネットワークが加わります。
スピーカーシステムは略してスピーカーと呼ばれることが多いです。
これらスピーカーユニットやキャビネットの形式にはさまざまな種類があって、それぞれに特徴を有しています。 ここでこれらの種類と特徴を簡単に紹介します。
 
・再生音域別スピーカーユニットの呼称

2ウェイ・スピーカーシステム

3ウェイ・スピーカーシステム
通常、スピーカーシステムは全音域を幾つかの音域に分割し、それぞれの音域の再生は専用のスピーカーユニットが受け持ちます。
その理由は次の通りです。

まず低音に関してですが、低音を出すには大量の空気を動かす必要があるので、広い面積の振動板の方が有利です。
しかし、面積が広くなればなるほど重量が増えるので、高速で振幅できなくなり、高音域の再生はむずかしくなります。

一方、高音を再生するには、大量の空気を振動させる必要はなく、大切なのは振動板を高速で振幅させる(1万ヘルツを再生するには振動板を1秒間に1万回振動さねばならい)ことなので、小口径で軽量の振動板の方が有利となります。

そのため、低音用のスピーカーは大口径ユニットが、そして高音用は小口径ユニットが使われるのです。

市場で多いのは、低音と高音の2つに分割したのを「2ウェイ」と、低音、中音、高音の3つに分割したスピーカーシステムを「3ウェイ」です。
2ウェイシステムでは、中音は低音用と高音用のスピーカーがお互いにカバーし合います。

なお、それぞれの音域を受け持つスピーカーには名前が付けられていて、
低音用を「ウーファー」、中音用を「スコーカー」、高音用を「ツィーター」と呼びます。

上記以外に、ツィーターよりも高い音域を受け持つ「スーパーツィーター」、ウーファーの下を受け持つ「サブ(またはスーパー)ウーファー」、中低音を受け持つ「ミッドバス」、中高音を受け持つ「ミッドハイ」などがあります。
 
・スピーカーユニットの種類
現在、市場に出回っているスピーカーユニットは、マグネットで磁界を作り、その磁界の中にコイル(ボイスコイル)を配して、アンプからの電流をコイルに流してコイルを動かすダイナミック型が主流を占めています。
しかし、いくらコイルを動かしても、コイルは空気を動かすだけの面積がありませんから気圧変化を起こせません。そこで、コイルに振動板を取り付けることで空気を動かしやすくして音を発生させています。
この振動板の形状によってそれぞれ名称が付けられているので紹介します。
 コーン型スピーカー

コーン型スピーカー
振動板の形状がコーン(円錐)形をした、最もポピュラーなスピーカーユニットです。低音から高音までの再生をこなすことできますが、どちらかと言えば、低音や中音の再生に向いています。
特に、大きな口径を必要とする低音用スピーカーはこのコーン型の独壇場ですが、高音の再生はそれほど得意でなく、クォリティもドーム型やリング型に比べて高くありません。

振動板の素材として、古くはパルプ(紙)が広く使われましたが、最近は、コーン紙の製造過程で使用される顔料が公害の原因になることからパルプの振動板は少なくなり、それに代わって、振動板に求められる3つの条件のひとつである「硬度」を重視して、化学系素材が多く使われるようになってきました。
 
 ドーム型スピーカー

ドーム型スピーカー
振動板の形状がお椀を伏せたようなドーム形をしていることが名前の由来です。
この形状は小口径に向いているので、現在市販されているスピーカーシステムのツィーターの大半がこのドーム型を採用していますが、稀にスコーカーに使われることもあります。

振動板の素材にはポリエステル繊維などの織布(布)を使用したものと、金属を使用したものがあります。前者を「ソフトドーム」、後者を「ハードドーム」呼びます。

ソフトドームは振動板が柔らかいため、振動板の部分部分がバラバラに振動する「分割振動」が比較的低い周波数(例えば、25mm径だと3〜4kHz辺り)から起こります。
通常、口径が25o程度のツィーターは2〜3kHzくらいから上の周波数帯域を受け持つので、ほとんどの再生音域で分割振動をしていることになります。
分割振動は音的には濁り(=歪)となって現れるので、それをいかに感じさせないようにするかがエンジニアの腕の見せ所です。

それに対して、ハードドームは材質が硬いだけに分割振動をより高い音域に追いやることができます。
最近、比較的高級なスピーカーにはハードドームが採用されることが多いのは、このような理由からで、その材質もベリリウムやダイヤモンド結晶といった、より高硬度のものが採用される傾向にあります。
ただ、ハードドームも長所ばかりではなく、硬いだけに固有の響きが強く出やすいので、これをいかに耳に感じなくさせるかがハードドームを採用するエンジニアの腕の見せ所となります。
 
 リング型スピーカー

リング型スピーカー
こちらは国内外の一部のメーカーが最近採用を始めた比較的歴史の浅い振動板で、その形状がドーナツ状(リング状)をしていることから名付けられました。
上述しましたように、ソフトドームスピーカーは比較的低い周波数から分割振動をし始めるが、材質固有の響きが少ないのに対して、ハードドームは分割振動を高い周波数に追いやれメリットがあるが、反面、共振が鋭く、材質固有の響きが大きいというデメリットを併せもっています。

これらの問題を解決するために開発されたのがリング型スピーカーです。
素材はポリエステルなどの柔らかい布を使用することで振動板固有の響きを低減させる一方、ボイスコイルから振動板の端までの距離をうんと短くすることで、分割振動を起こりにくくして、共振周波数を高域に追いやっています。
 
 ホーン型スピーカー

ホーン型スピーカー
振動板の前にラッパ(ホーン)を取り付けたのがホーン型スピーカーです。
メガホンを使うと声が大きくなりますが、この原理を応用して振動板の前にホーンを取り付けて、音を効率的に放射するために考案されました。
このホーン型スピーカーの歴史は古く、エジソンが発明した蓄音機に遡ります。

ホーン型スピーカーは、低音を再生するには非常に大きな開口(ホーンの出口の大きさ)を必要とするため、一般的には、スコーカー以上の音域に使用されます。
このホーン型スピーカーの特徴は、能率(電気を音に変換する効率)が高く、振動板を大きく振動させなくても大きい音量が得られるので、歪が少ないという長所があります。
しかし反面、高いクォリティを得るには、部品の高い設計・工作精度が要求されるだけでなく、それを組み立てる熟練した製作技術も必要となります。
また、ホーンは固有の響きが少ない素材と形状が要求されるなど、さまざまな特殊技術が要求されるため、価格が高いスピーカーにしか採用できません。
部品の精度、ホーンの材質や形状などがおざなりにされた、形ばかりのホーン型スピーカーは、公共の場で使用されている拡声器のような、明瞭度の悪い、汚い響きの多い音になってしまう欠点があります。
 
・キャビネット形状の違いによる種類

トールボーイ(据置)型

ブックシェルフ型
左の写真のように、背高のっぽのスピーカーを「トールボーイ」と呼びます。通常、床に直置きして使用します。
トールボーイ型スピーカーはホームシアター用と思っている人が多いですが、オーディオ用に開発されたものも数多くあります。
なお、床に直置きして使用するスピーカーを総称して据置型(フロア型)と呼び、トールボーイ以外に、大型スピーカーシステムもこの据置型が広くされます。
一方、棚や台に乗せて使用するスピーカーを「ブックシェルフ型」といいます。
ブックシェルフとは本棚という意味ですが、本棚に入らないような大きなものも、底板が平らで、天板と同様の構造のスピーカーであればブックシェルフと呼ばれます。
このタイプのスピーカーはウーファーが底板に近い位置に配置されているので、床に直に置くと低音がこもって明瞭度が悪くなります。
適当な棚や台がないときはスピーカースタンドを用意してください。(スピーカースタンドの高さ 参照
 
・キャビネット構造の違いによる種類

密閉型キャビネット

密閉型キャビネット
スピーカー後方に放射された音がリスナーに届かないように、完全に包み囲んでしまう方式を「密閉型」と呼ぶのに対して、必要な低音域だけをダクトを介してリスナーに届くように放射して、低音の量感を増強するのが「バスレフ型」です。

うまく設計された密閉型は、ある音域から低域に向かってなだらかに減衰するきれいな周波数特性を示しますが、小口径ウーファーを小型キャビネットに収納すると、比較的高い周波数から減衰を始めるために、低音の量感が乏しくなり勝ちになってしまいます。

密閉型とバスレフ型の周波数特性
そこで、スピーカーユニット後方から放射された音をダクトを介して特定の音域だけを放出し、スピーカーユニット前面から放射された音と位相を合わせることで低域の再生範囲を広げようというのがバスレフ型で、ほとんどの小型スピーカーはこの方式が採用されています。

ところでバスレフのダクトの取り付けにもメーカーの試行錯誤があります。
以前はほとんどがバッフル板(スピーカーユニットを取り付ける前面の板)側にダクトが配置されていましたが、ダクトからキャビネット内で発生する汚い音が聴こえやすくなるという理由から、裏板に配置されるスピーカーが見かけられるようになりました。

ダクトを後ろにもってきたのを「リアダクト方式」と呼びますが、低音が設計通りに放射されるようにするには、壁とスピーカーの間隔を十分あけることが使用上のポイントです。
また、後方の壁がビビリやすいと、その響きが再生音にまとわりつくので、可能な限り壁から離すことも忘れないでください。できれば50cm以上離したいものです。

一方、力強い低音を得るにはフロントダクトが適していることから、ダクトを前面に取り付け、かつキャビネット内の汚い音が出にくくなるよに、ダクトの形状に工夫を凝らしたスピーカーもあります。
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