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■バイアス |
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トランジスターや真空管といった増幅素子の入出力特性は、入力がうんと小さいときとうんと大きいとき、入力に比例した出力が得られない比直線性を示します。この比直線部分を使って増幅すると、出力に含まれる歪が増加します。
うんと大きい入力での非直線は、増幅素子の増幅限界によるもので、その素子を使用する限り対策の余地はありません。ところが、音楽信号は交流ですから、いつもプラスからマイナスに、あるいはマイナスからプラスへと、行ったり来たりを繰り返します。そのため、信号がプラスとマイナの間を行き来する度に、この低レベルの箇所を通過しますから、低レベルにおける非直線性を改善することが、音質を向上させる上で不可欠の課題となります。
そこで、増幅素子にあらかじめ直流電圧を加えること(直流電流を流すことと同義)で、動作点をなるべく直線性の良い(歪の少ない)ポイントに移動させ、歪の低減が図られます。これをバイアスと呼びます。
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 バイアスの原理 |
通常、「バイアス電流を何mA流す」とか「バイアス電圧を何ボルトかける」といった言い方をしますが、大量のバイアスをかけて、動作点を入出力特性の中央に移動させるのがA級増幅、わずかだけかけるのがB級増幅、B級よりも多くのバイアスをかけるのがAB級増幅です。
また、テープもいい音で録音できるようにバイアスがかけられます。 |
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■バイアンプ |
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バイワイヤリングをさらに発展させ、2台のアンプでウーファーとツィーターを個別にドライブする方式です。
ちなみに、バイアンプは周波数分割をスピーカー内のネットワークで行なう点がマルチチャンネル・アンプと異なるところです。
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■倍音 →音の三要素 |
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楽器などの高調波成分のことで、基音の整数倍の周波数成分のことです。 |
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■ハイカットフィルター |
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低い周波数を通過させ、高い周波数をカットするフィルターのこと。
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 ハイカットフィルター |
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■ハイパスフィルター |
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高い周波数を通過させ、低い周波数をカットするフィルターのこと。
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 ハイパスフィルター |
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■バイワイヤリング |
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アンプとスピーカーの接続は、通常プラスとマイナス1組のスピーカーケーブルで行ないます(これをシングルワイヤリングと呼びます)が、バイワイヤリングはウーファー用とツィーター用の2組のスピーカーケーブルを使って接続します。
この方式を採用することで、ウーファーの逆起電力がツィーターに、あるいは反対にツィーターの逆起電力がウーファーに与える影響が軽減されるため、音質的に有利だと言われています。
なお、バイワイヤリング接続をするには、左下の写真のようにウーファー用とツィーター用の入力端子を備えたバイワイヤリング対応のスピーカーが必要ですが、アンプは特別なものは必要ありません。
接続方法は、アンプにスピーカーA端子とBの端子がある場合は、ウーファーとツィーターをそれぞれAとBの端子に接続し、スピーカー切換えスイッチをA+Bにして演奏します。
しかし、アンプにスピーカーAとB端子がない場合は、ウーファーとツィーターの2組のケーブルをアンプの同じ端子に接続すれば、A+Bで演奏するのと回路的に同じで、これもバイワイヤリング接続です。
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 バイワイヤリング端子 |
 シングルワイヤリングの回路 |
 バイワイヤリングの回路 |
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■波高値 |
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波形の最大振れ幅(最大振幅)のこと。
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 波形の大きさ |
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■波長 |
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1サイクルの波の長さのことで、音速(340m)/周波数で求めることができます。
100Hzの音波の波長は340m/100Hz=3.4m、1kHzは34cm、10kHzは3.4cmです。
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 波長 |
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■ハードウェア |
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元はコンピューター用語でしたが、機械そのものを総括的に指す言葉として転用されました。
ソフトウェアの対意語。 |
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■ハーモニクス |
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基本波の整数倍または整数分の一の周波数のこと。
整数倍の周波数を高調波、整数分の一の周波数を低調波と呼びます。通常はハーモニクスというと高調波を指すことが多いです。 |
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■パルス |
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脈拍や鼓動のように、短い時間の波動のことです。
電気信号に言い換えると、電流がごく短い時間帯だけ一定量流れ、それ以外の時間帯は流れない、ということを繰り返す波、これをパルスと呼びます。デジタル信号はこのパルス信号で構成されたものです。
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 パルス波形 |
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■パワーアンプ |
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文字通りパワー=電力増幅を行なう回路のことです。プリアンプの出力を受けてスピーカーの振動板を動かすに足る大きな電力に増幅する回路のことです。
アンプのもっとも重要な役割である電力増幅を行なうことから、メインアンプとも呼ばれます。
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■反射率 |
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進行する音波が壁などの障害物に当たると、一部は反射され、一部が障害物の中で吸収され、残りが透過します。
反射率は入射エネルギーに対する反射エネルギーの比をいいます。コンクリートのような硬くて重いものほど反射率は大きいです。
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■バンドノイズ |
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ホワイトノイズをバンドパスフィルターを通して、低い周波数と高い周波数の成分をカットした得られるノイズのこと。 |
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■バンドパスフィルター |
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低い周波数と高い周波数をカットし、その中間の周波数を通すフィルターのこと。
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 バンドパスフィルター |
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■非可逆圧縮 |
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完全に元のデータに戻らない圧縮方式のことで、ロッシーとも呼ばれます。
Dolby Digital、DTS、AAC、MP3などがあります。 |
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■比直線性 |
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入力と出力が正比例の関係にない状態のことを指します。
例えば、アンプの増幅度(入力を増幅する割合)は、入力が小さいとき、増幅度は小さく、入力が大きくなるにしたがって大きく、かつ一定になります。さらに入力が大きくなると、アンプの増幅限界に差し掛かり、出力は頭打ちとなって増幅度が小さくなります。
このような関係を入出力特性が非直線である、あるいはノンリニアであるといい、この非直線があると種々の歪(高調波歪や混変調歪など)が発生します。
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 入出力の非直線性 |
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■フィルター |
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ろ過器のこと。電気回路では、ある特定の周波数帯域を通過させ、それ以外の帯域をカットする回路をフィルターと呼びます。
フィルターには、低い周波数を通過させ、高い周波数をカットするローパスフィルター(ハイカットフィルターとも言います)、逆に、高い周波数を通過させ、低い周波数をカットするハイパスフィルター(ローカットフィルター)、低い周波数も高い周波数もカットし、その中間の周波数を通すバンドパスフィルターなどがあります。 |
 ローパスフィルターの特性 |
 ハイパスフィルターの特性 |
 バンドパスフィルターの特性 |
 減衰特性と遮断周波数 |
なお、フィルターは通過させない周波数帯域を完全にカットすることはできず、特定の周波数からカットする量を徐々に強めながら減衰していきます。この減衰の度合いを表わすのが減衰率=減衰特性で、1オクターブ毎に6dBずつ減衰する6dB/oct、12dBずつ減衰する12dB/octなどがあります。
また、減衰を始める周波数を遮断周波数(カットオフ周波数=fc)と呼んでいますが、実際は遮断周波数ではすでに3dB減衰しています。 |
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■フォノイコライザー・アンプ |
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レコードプレーヤー(厳密にはカートリッジ)の出力は、
・出力電圧が大きいものでも数mVと、CDプレーヤーの最大2VやチューナーやMDデッキの数百mVに比べてきわめて小さく、
・かつレコードはRIAA録音特性でもって元の音の低音を弱め、高音を強めて録音されているため、低音は弱く、高音ばかりが目立つ音です。
そこで、他のソース機器並みの電圧に増幅すると同時に、RIAA再生特性(逆RIAA)をもった回路を通して元の音に戻す(等価=イコライジング)必要があります。この2つの役目を担った回路がフォノイコライザーで、フォノイコライザーが搭載された入力端子を「PHONO」と呼びます。
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■負荷 |
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電気回路が発生させた電圧や電流の供給先の回路、あるいは素子のことです。オーディオシステムではCDプレーヤーの負荷はアンプで、アンプの負荷はスピーカーです。
そして、電力の供給側から見た負荷のインピーダンスを負荷インピーダンスと呼びます。
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■負帰還 →NFB |
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■ブックシェルフ型スピーカー |
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ブックシェルフとは本棚という意味で、本来は本棚に入るくらいの 小型スピーカーを指すのですが、
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 大型ブックシェルフ型スピーカー |
床に直接置くタイプ以外のスピーカー(脚のないスピーカー)は、それが本棚には収まらないほど大きくてもブックシェルフ型と呼んでいます。
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 ブックシェルフ型スピーカー |
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■プッシュプル増幅 |
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増幅回路の一種。片方がプラスの状態のとき、もう一方がマイナスの状態で動作をする回路のことです。
具体的には、2系統の増幅段が、それぞれ正相と逆相で同時に動作させ、出力段で合成する回路です。
プッシュプル増幅はシングル増幅に比べて出力が大きく取れるといった特徴があり、広く採用されています。
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■ブーミー/ブーミング |
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特定の周波数の音が強調される現象を指します。部屋の残響時間が長いと、低音の特定の周波数でブンブン響いて不快になります。
ブーミングの原因のひとつに定在波があります。定在波が原因するときは、部屋の特定の場所でブーミングとなります。 |
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■フラッターエコー |
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家具などが置かれていない部屋で手を叩くと、ピチピチといった、エコーのような音が聴こえることがあります。
このような現象は壁や天井、床が互いに平行していて、それらが音をよく反射する材質でできている部屋でよく経験します。それは手を叩くことで発生した音が壁と壁、あるいは天井と床の間を何度も往復することで断続的に聴こえるのです。
このような現象をフラッターエコー、あるいは鳴き竜現象といいます。
フラッターエコーが生じる部屋は音響的に良くありません。そこで、リスニングルームは互いに平行な面をなくしたり、壁面を凸凹にしたり、反射を抑えるために壁面に吸音面を作ったりします。
大きな工事を伴わないフラッターエコー対策はこちらをご覧ください。 |
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■プリアンプ |
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アンプの役割はソース機器から送り込まれる微小な信号を、スピーカーの振動板を動かすだけの大電力に増幅することですが、アンプはそれ以外の役割も担っています。
アンプがどのような働きをしているかを、ソース機器から送られてきた音声信号の流れに沿って簡単に説明しましょう。
アンプには多くのソース機器が接続されますが、入力切換えによって希望するソース機器の音をアンプ内に取り込みます。次いで、トーンコントロールやボリュームコントロールなどの回路で音の調整が行なわれた後、スピーカーの振動板を動かし得る大きな電力に増幅されて出力されます。(参照)
プリアンプとは、前に置かれた増幅器という意味で、入力切換えからコントロール回路までを指し、補助的な増幅も行ないます。なお、プリアンプの役割が主として音をコントロールすることにあるので、別名コントロールアンプとも呼ばれます。
なおフォノイコライザー・アンプもプリアンプに搭載されます。
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■プリメインアンプ |
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プリアンプとパワーアンプ(メインアンプ)が一体化され、ひとつの筐体に収められたアンプのこと。インテグレーテッドアンプとも呼ばれます。通常、アンプと言えばこのプリメインアンプを指します。
それに対してプリアンプとパワーアンプを別々の筐体に納めたものをセパレートアンプと呼んでいます。
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■ブルーレイディスク(BD) |
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ディスクサイズはCDやDVDと同じ12cmですが、記録容量はDVDの約5倍もあるため、ハイビジョン映像の記録、また音声ではドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioといったロスレス圧縮(可逆圧縮=圧縮されたデータを元のデータに100%復元できる音声圧縮技術)音声やマルチチャンネルPCM録音が可能となり、高品質な画質と音質をわれわれに提供してくれるようになりました。
また、インタラクティブ機能を備えていて、映画だけでなく高画質なゲームが楽しめるほか、インターネットと接続したネットワーク機能も標準化されています。
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■フレッチャー・マンソン・カーブ |
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フレッチャー氏とマンソン氏によって発表された等感度曲線。
人は物理的に等しい音圧レベルの音が耳に入ってきても、周波数が異なると同じ大きさに感じません。その感じ方の違いを両氏がグラフに表したもので、同じ音量に聴こえる音圧を線で結んだものです。
右のグラフから分かるように、人は音圧が大きいときは、周波数による聴こえ方はそれほど変わりませんが、音圧が小さくなると、低音と高音が聴こえにくくなることを表しています。
オーディオ再生中、音量を下げると音がしょぼくなるのは、こういった人間の聴こえ方が一因しているのです。
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 フレッチャー・マンソン・カーブ |
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■プログレッシブ |
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順次走査とも呼ばれるもので、1番目、2番目、3番目と飛び越しをせずに順々に走査する画面を表示する方法です。インターレースよりもフリッカー(チラツキ)が低減され、解像度も約30%ほど改善されます。 |
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■平面波 |
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波面が平面状をした進行波のこと。 |
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■ヘッドアンプ |
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レコードプレーヤーに使用されるカートリッジ(溝の機械的振動を電気信号に変換する装置)の出力は、CDプレーヤーやチューナーに比べて大幅に小さく、かつRIAA録音特性によって、低音を弱め、高音を強められた信号です。
そこで、レコードを演奏するときは、フォノイコライザー・アンプで他の機器並みの信号に増幅すると共に、RIAA再生特性によって元の音に戻しますが、フォノイコライザー・アンプは比較的出力の大きいMM型カートリッジに合わせて設計されています。
そのため、MM型カートリッジよりもさらに出力の小さいMC型カートリッジを使用するには、さらに電圧を上げる必要があります。その役割を担うのが、トランジスターなどを使った増幅回路のヘッドアンプです。同じ目的の機器としてトランスを用いた昇圧トランスがあります。
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■ヘルツ(Hz) |
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周波数や振動数の単位で、1秒間に起こる波動の高低数や振動数を示すものです。
以前使用されていた、C/S(サイクル/秒)と同じです。ドイツの物理学者ヘルツ氏にちなんで名付けられました。 |
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■方形波 |
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矩形波とも呼ばれる四角い形をした波形のことです。
緑色の点線で示した正弦波(基本波)とその周波数の奇数倍の倍音(奇数次高調波)で構成されています。
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 方形波の波形 |
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■ホワイトノイズ |
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可聴帯域内のあらゆる周波数にわたって成分が分布し、それらの成分がほぼ同じレベルのノイズのことをホワイトノイズと呼びます。 深夜テレビ放送が終了したときに出るザーというノイズがホワイトノイズに近い音です。
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■ホーン |
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音の大きさを表す単位で、騒音のレベルを表すのに用いられます。
通常、音の大きさを表現するのに音圧レベル(単位=dB)が使用されますが、人間の聴感特性は、同じ音圧レベルであっても、周波数が異なると同じ大きさには感じません。そこで、1、000Hzと同じ音量に感じる音量を1,000Hzの音圧レベル値でもって表わしたのがホーンです。
つまり、その音がいかなる音圧レベルであっても、ホーンで表される数値(仮に80ホーンとすると)は、1,000Hzの80dBの音圧レベルの大きさに相当することを意味します。
参照→等感度曲線
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