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部屋のチューニング
フラッターエコーの対策
部屋のチューニングの基本
定在波の対策
壁面の凹みの対策
天井のハリの対策
一次反射の対策
壁のビビリ対策
 
 
音楽愛好家の間で、「○○ホールの音は良い」とか「△△ホールはいまいちだ」といった、コンサートホールの音響特性の良し悪しがしばしば話題にのぼることがあります。
個々のホールは、構造や形状の違いだけでなく、壁や天井などの材質や厚さなどを含めて、さまざまな点で独自性を有していますから、そこで反射される音の質や反射の状態、つまり響きも当然違ってきます。
この響きの違いがホールの音の違いとなって現れるわけです。

もちろん、私たちのオーディオルームも、部屋の構造や形状、あるいは、壁や天井、家具類の設置状態などの違いによって、それぞれ固有の響きをもっています。
私は過去にさまざまな試聴会の会場やユーザーのオーディオルームでセッティングを行なってきましたが、出てくる音の違いの大きさをいやというほど味わってきました。
同じ機器を使って、同じセッティングをしても、同じ音が出た例(ためし)はありません。
出てくる音がたとえ違っても、その部屋なりの良さが分かるような音であればいいのですが、中には、とんでもないひどい音しか出ないことも一再ではありませんでした。

スピーカーの位置やケーブルの接続方法を工夫しても、なかなか明瞭度が良くならない、気持ちのいい音にならない、音像の立体感が出ない等々、症状はさまざまありますが、思ったようにいい音にならない場合は、部屋に音を悪くするクセがあって、そのクセが音をいたずらしていると考えてもまず間違いないでしょう。
「音を良くしたいなら、部屋を良くしろ」というくらい、部屋と音とは大きな関わりをもっているのです。

かと言って、部屋をオーディオ用に特別に設計し、改造することはなかなかできません。でも、ご安心ください。
私たちが普段生活している部屋はそれほどひどいクセはないはずです。
話し声が変に響いたり、不明瞭になったりしない限り、オーディオルームとして及第点であると思っていいです。
そういった部屋では、ちょっとした工夫でいい音にグレードアップすることは可能です。

しかし、明瞭度が極端に悪い部屋は、本腰を入れて対策をしてやる必要があります。
そんな部屋は一般家庭ではそれほど多くはありませんが、このページでは、そういった部屋に焦点を合わせて話を進めていきます。
というのは、及第点の部屋でも、ここで紹介する手法を用いれば、さらに音に磨きをかけることができるからです。
さあ、気楽な気持ちでできそうなことから試してみてください。
 
■フラッターエコーの対策
日光の東照宮や京都の相国寺の鳴き竜は、手を叩くと、その音がいつまでも消えずに残り、天井に描かれた竜が鳴いているように聴こえることで有名です。
鳴き竜は、天井を図のように少し湾曲させることで、叩いた手の音を部屋の中央部に集めて、天井と床の間で何度も何度も反射を繰り返させることで、長い時間消えずに残るように工夫されています。

一方、一般家庭はわざわざ泣き竜が発生するような構造は採られることはませんが、ほとんどの部屋は壁と壁、天井と床が平行面で構成されています。
そのため、壁や床などに音を反射しやすい硬い材質が採用されていると、壁と壁、あるいは天井と床の間で、音が繰り返し反射され、鳴き竜に似た現象が発生しやすくなります。
このような現象をフラッターエコーと呼び、平行面が広いほど、また重くて厚い材質が使われているほど顕著に現れます。

鳴き竜
フラッターエコーの発生する部屋で音楽を演奏すると、スピーカーから放射された音がいつまでもエコーとなって残り、そのエコーがスピーカーから次々と放射される音に混ざるため、明瞭度が極端に低下してしまいます。

フラッターエコーの発生する部屋かどうかは、 手を叩きながら部屋の中を歩いてみれば分かります。
もしも、叩いた手の音がやまびこのように反響するなら、その部屋はフラッターエコーが存在する部屋です。
フラッターエコーは、通常、特定の場所で発生することが多いですが、時には、部屋のあらゆる場所で起こる場合もあります。
あらゆる場所でフラッターエコーが発生する部屋は重症で、その対策は気合を入れてやらなければならないので、この項では比較的軽度のフラッターエコーの対策法をご紹介します。

フラッターエコーの発生が確認されたら、その場所の前後左右の壁面と天井と床を見てください。
おそらく、壁や床が硬い材質でできていて、硬い表面がむき出しのまま(吸音性のカーテンなどがない状態)の、そこそこに広い面積の平行面があるはずです。
また、家具があっても、その家具がかなり大きな表面積をもっているなら、フラッターエコーが起こることもあります。

もしも、フラッターエコーの存在を確認したら、次のような方法で対策を打ってください。

・吸音材で反射を抑える
フラッターエコーが発生する壁面にカーテンやパテストリーを吊るして反射を抑制します。
生地は厚いほど反射を抑える効果があり、襞を深くしたり、壁から少し離して吊したりすることでさらに効果を上げられます。
天井と床の間のフラッターエコーは絨毯などで抑えてください。

・家具を置いたり、家具を斜めに置く
家具や装飾品を置いて壁面に凸凹をつけ、平行面の面積を狭くることでフラッターエコーの発生を低減することができます。
また、家具が置かれていても、大きなサイズであればフラッターエコーが発生する可能性があります。そんなときは、家具を少し斜めに設置して、反射の向きを変えてやればフラッターエコーを退治できます。

なお、家具がほとんど置いていないマンションの一室などでは、部屋の各所でフラッターエコーが発生することがあります。
このような部屋でオーディオを楽しむ人はほとんどいないと思いますが、このような部屋でのフラッターエコーの対策は、部屋全体の音響特性を根本から見直す必要がありますので、次の「部屋のチューニングの基本」を参考に対策を行なってください。
 
■部屋のチューニングの基本
部屋のチューニングの主な項目には、
@反射音の調整(部屋のチューニングの基本)
A壁面などの凹みで起こる共鳴の対策
Bハリや柱などの出っ張った箇所で起こる波面の乱れの対策
などがあります。

Aの対策については次々項の「壁面の凹みの対策」で、Bについては、さらにその次の項の「天井のハリの対策」で説明することにして、この項では、基本的な反射の調整について触れることにします。

部屋は響きが多過ぎても、少な過ぎても良くありません。
響きが多過ぎる部屋はライブな部屋と呼んで、音の明瞭度が損なわれ、逆に、響きの少な過ぎる部屋はデッドな部屋と呼ばれ、うるおいやふくよかさが欠けて、つまらない音になってしまいます。
適度な響き、それもきれいな響きが得られる部屋が理想です。

ライブかデッドかは、部屋の中でしゃべってみれば分かります。
ライブな部屋だと、余韻が長く続いて、声の明瞭度が悪くなります。ちょうど、カラオケでエコーをかけ過ぎたようになります。
一方、デッドな部屋は声が通りにくく感じ、詰まったように聴こえます。会話するのも少し大き目の声でしなければなりません。
しゃべりやすく、声がスーッときれいに通れば、オーディオルームとしては及第点で、このような部屋だと、大層な対策をせずとも、ちょっとした工夫でさらなる音のグレードアップが可能です。

ライブな部屋の代表は、頑丈な壁で囲われた、家具の少ない部屋です。こういった部屋は、響きが多過ぎる=残響時間(音が止まってから60dB減衰するまでの時間)が長過ぎるだけでなく、フラッターエコーや定在波が発生しやすいものです。
ライブな部屋の対策の基本は吸音です。吸音には市販の吸音材を使用するのもいいですが、壁面ならカーテンでも構いませんし、床面なら絨毯が適材です。

なお、吸音に際して覚えておいて欲しいのは次の点です。
@まず、生地が薄いとあまり吸音効果はありません。より低い音を吸音するには、厚手のものが必要です。
(といっても、低音を吸収するのは並大抵ではなく、カーテンで吸音できるのはせいぜい中音くらいから上です)

Aまた、同じ生地のカーテンを使用する場合でも、襞を深くしたり、あるいは、壁から離して吊るしたりすることで、吸音できる周波数を下げたり、吸音率を上げたりすることができます。
なお、実際に吸音材(カーテン)を吊るすときは、次の点についても注意をしてください。
@吸音し過ぎないことです。壁面全体をカーテンで覆うなど、吸音面を広くし過ぎるとデッドになってしまいます。
A左右の壁面の吸音バランスが崩れると、音場空間や音像の定位が不自然になるので、左右の吸音はなるべく同じくらいにしてください。

この2つの注意点を遵守した吸音の方法は、右の図のように、壁面を反射面と吸音面を交互にし、片方が反射面の場合、その反対側を吸音面にするようにします。
こうすることで、残響の調整だけでなく、部屋のあるゆる場所で発生しているフラッターエコーの抑制にもつながります。

なお、前後の壁面に関しては、音楽の活き活き感をなるべく損なわないよう、スピーカー後方はなるべく反射面、リスニングポイント後方は吸音面しするのがいいでしょう。
(スピーカーサイドの反射が強すぎる場合は、左右対称に適度な吸音処理を行なってください)

部屋の吸音の基本
 
定在波の対策
部屋の中の特定の場所で低音がよく聴こえたり、あるいは逆に聴こえにくかったりするときは定在波の影響を疑ってください。

音波は気圧の変化(空気の圧縮と膨張)が隣接する空気の気圧を次々と変化させながら空中を進行する波で、通常、部屋の中では、隣接する空気を変化させながら進行し、壁に当たって反射され、その反射音はまた空気中を減衰しながら進行し、反対側の壁で反射されるということを繰り返します。

ところが、反射率の高い、向かい合った2つの壁面が平行であると、音波はその間で反射を繰り返し、同じ場所を何度も行ったり来たりします。
このとき、互いに反対方向に進む2つの音波の中で、同じ位置で「圧縮」「膨張」とを起こす周波数の音波が現れます。
そして、その音波は進行せずに、同じ場所で圧縮と膨張を繰り返します。このような音波を定在波と言います。

厚くて重い材質でできた壁ほど低音を反射しやすいのですが、このような壁が広い面で平行している部屋ほど定在波の発生する確率が高く、発生すると、「腹」と呼ばれる気圧が圧縮と膨張を繰り返す部分と、気圧が変化しない「節」と呼ばれる部分が現れます。
そのため、腹となる場所ではその近辺の周波数の低音はよく聴こえ、節となる場所では逆に弱くなります。

ここで、どんな周波数で定在波が発生するかを計算してみましょう。
壁面間の距離が仮に3.6mだとすると、
一番低い周波数の定在波は340m/(3.6mm×2)=約47Hz、
2番目に低いのが2×340m/(3.6mm×2)=約94Hz、
その次が3×340m/(3.6mm×2)=約141Hz・・ということになります。
そして、それぞれの周波数における腹と節は右の図のような位置になります。

定在波

つまり、壁面間の距離が3.6mだと、真ん中の位置では47Hzと141Hzが音圧が下がり、94Hzは音圧が上がります。
定在波は左右の壁面間と前後の壁面間、天井と床の上下の壁面間の3方向で起こり得るわけですが、定在波の影響が最も強く現れる部屋は、複数の壁面間で発生した同じ周波数の定在波の節と腹が同じ場所で発生する場合です。

右に日本家屋の代表的な寸法比1:1(4畳半や8畳)の部屋と、4:3(6畳)の部屋における定在波の節の位置を周波数別に色分けして表わしました。
1:1の場合、1辺が3.6mなら約47Hz、94Hz、141Hzの定在波が前後左右の壁面間で発生し、同じ色が交差している場所では、その近辺の周波数の音圧は極端に下がってしまいます。
一方4:3の場合、1辺が3.6mと2.7mなら、長辺の定在波は約47Hz、94Hz、141Hzで、短辺は約63Hz、約126Hz、約189Hzと定在波の周波数はズレてきます。

このことから、正方形や寸法比が1:2の部屋は同じ周波数の定在波が前後左右の壁面間で起こるので、リスニングポイントの選定は慎重にしないと、低音が極端に弱いという問題に悩まされることになりかねません。

定在波もフラッターエコーと同様に平行した壁面の間で起こりますが、フラッターエコーが比較的高い周波数で発生しやすいのに対して、定在波は低い周波数で起こります。
そのため、波長の長い定在波はフラッターエコーの対策で有効なカーテンのような布では十分に吸収することができず、緞帳のような分厚い布に多くの深い襞をつけてようやく効果が出始め、本格的に行なうにはグラスウールなどの吸音材で作られた奥行き数十cmの吸音層を必要とするなど、その対策はとても厄介です。

そのため、吸音による対策よりも効果的なのが壁や家具などを斜めにして反射音の向きを変えることですが、それができないときはフラッターエコーの対策と同様に調度品などで壁面に凸凹をつけることで対応できますが、このとき使用する調度品は相手が低音なので、なるべく大きくて重量のあるものが必要です。
そして、どうしても定在波が取れないときは、リスニングポイントが「節」の位置にならないように、思い切ってスピーカーの位置共々リスニングポイントを変えてみる以外に選択肢はありません。
 
■壁面の凹みの対策
「予備知識」のページで紹介したように、凹んだ空間の中にスピーカーを設置すると、音ははなはだしく悪くなります。そこで、少なくともスピーカーを凹みから出すことをお勧めしました(詳細はここをクリック)が、それは次のような理由があるからです。

@まず、スピーカーから放射された音波は、きれいな波面で空中を進んでいきます。
ところが、空間の広さが急に変化する箇所を音波が通過すると、気圧を変化を伝える面が急激に変化するため、波面が大きく乱れたり、音響インピーダンスのミスマッチングによる反射が起こったりします。これが音を悪くするひとつの理由です。

Aもうひとつの理由は、凹んだ空間で固有の共鳴が発生し、その共鳴が再生音にまとわりついて明瞭度を低下させたり、音のエネルギーを吸い取ったりするからです。

これらの影響に対して、スピーカーを凹みの外に出せば(空間の広さが急激に変化する箇所よりもリスニングポイント側に移動すれば)、@の波面の乱れは大幅に低減することができ、それによって音質は凹みの中にスピーカーを設置するのに比べ大幅に改善できます。
しかし、Aの共鳴の影響も幾分かは緩和できるものの、その影響を完全に取り去ることはできません。
そのため、凹みで起こる共鳴の影響から少しでも逃れるには、凹みからできるだけ離れた場所にスピーカーを移すことと、凹みの中の共鳴をどれだけ取り除けるかが音のグレードを上げる上での鍵となります。

ここで凹んだ空間とスピーカーとの位置関係による音への影響を整理してみようと思います。
部屋に凹みがないのが理想ですが、部屋に凹みがある場合、凹んだ空間の中にスピーカーを設置するのは最悪で、多少凹み内の共鳴対策をしても、それほどいい音にはなりません。
次いで悪いのは、スピーカーの近くに凹みがあることです。
凹みには「予備知識」のページで紹介した「はなはだしく音を悪くする凹み」や「できれば避けたい凹み」がありますが、それらは程度の差こそあれ、凹みがスピーカーに近い場所にある限り少なからず音に影響します。
少しでも音質を良くしたいなら、スピーカーを凹みから遠い位置に設置するのが上策です。

ただし、部屋に凹みがあれば、たとえスピーカーをそこから遠ざけても何がしかの影響を受けることもあります。
スピーカーが凹みの近くにあるなしに関わらず、凹みそのものの影響を低減するには、次に紹介する共鳴対策の中で実施可能な対策を試してみてください。
@最も効果があるのは家具などを凹みの中に入れて空間を埋めてしまうことです。こうすれば共鳴の発生を押さえられます。

A大きな家具で凹みを埋めることができない場合は、凹みの中に大型の観葉植物や調度品などを置けば、音波の進行を邪魔することができ、凹み内の共鳴を低減することができます。
また、見てくれは悪いですが、厚手の板を斜めに立て掛けるのも効果があります。

B厚手のカーテンなど吸音材を壁面に吊るして音を吸収する方法も効果があります。
ただし、吸音材の生地が薄かったり、壁と吸音材の間隔が狭いと比較的高い周波数の音しか吸収できません。
より低い音まで吸収するには吸音材を壁から離したり、カーテンなら生地は厚手を用い、深い襞をつけるなどの工夫が必要です。


吸音材を使うもうひとつの方法は、吸音材を凹みの小口に吊るして共鳴音が凹みから出てこないようにする(右側の図)ことです。この方法は同じ厚さの吸音材を使用するなら壁際に吸音材を吊るす方法よりも効果的です。

※ AやBを単独で採用しても思ったような結果が得られないときは、両者を併用してみてください。

 
■天井のハリの対策
マンションの部屋ではハリが天井から出ていることがありますが、このハリも音に少なからず影響を与えます。
特に、リスニングポイントとスピーカーの間にハリがある場合に音が最も悪くなります。

このようなケースでは、ハリに吸音材を貼ることでその悪影響を低減することができますが、ハリのスピーカー側だけを吸音処理するとスピーカー側の空間の音は改善できても、リスニングポイント側の効果はあまり期待できないので、ハリの両側を吸音処理するようにしてください。

ハリの対策例
 
■一次反射の対策
一次反射とは、スピーカーから放射された音が壁や床などで最初に反射される音のことで、二次反射、三次反射などに比べて、レベルが高く、かつ、直接音との時間差もわずかなため、時にはテレビのゴーストのような現象を起こして、音像のフォーカスを甘くしてしまいます。
もしも、スピーカー間の間隔や角度を調整してもどうしても音像の焦点が定まらないときは周囲を見回して、強い一次反射を起こしている箇所がないか探してください。

音は壁などの障害物に当たったとき、入射角に等しい角度で反射しますから、耳に到達する一次反射は、図のような経路を辿ります。これらの一次反射の中でもっとも再生音に影響を与えやすいのは、左右の壁面です。
そこが反射性の強いコンクリートや厚板でできているときはその影響を疑ってください。
また、床がフローリングの場合も一次反射のレベルが高く、再生音に強い影響を与えることがあります。

耳に届く一次反射の経路

一次反射の影響を調べるには、手近にある毛布のような吸音性のあるモノを一次反射のポイントに貼って音像のリアリティが増すかどうかを試してみることです。
効果があると分かれば部屋のインテリアに違和感のない半恒久的なものに替えれば無駄な投資をしなくてすみます。
特に、フローリングの床の一次反射は音像の焦点だけでなく、音の明瞭度にも多大の影響を与えますから必ずチェックしてください。

また、スピーカー後方の壁が凸凹していると音が乱反射してフォーカスが乱れることがあります。そのような場合は2本のスピーカーの中央付近の壁面に吸音材を貼ってその付近の反射を抑えることで改善が図れます。
なお、一次反射の対策をする際、吸音をし過ぎると音のエネルギー感や躍動感が削がれるので、吸音材の厚さや吸音面積は必要最小限に止めてください。

 
■壁のビビリ対策
壁の表面が薄い板などで仕上げられている場合、音によって壁板がビビって、反射音に板のビビリ音が付帯します。
このビビリ音はきわめてレベルが低いので、そのビビリ音自体を認識することはできませんが、それがたとえ低いレベルであっても楽器の微小な倍音を聴こえなくしたり、音を色付けしたりする、とても有害なノイズです。
このようなビビリは見逃されやすいのですが、楽器本来の音色を再現することはできませんので、対応策を講じる必要があります。

手軽な対策法は、壁面に吸音効果のあるカーテンなどを吊るすことですが、周囲の壁がすべてビビりやすいからといって、全面をカーテンにすることは音楽の活き活き感を殺しかねないので、闇雲にカーテンを吊るすのではなく、部屋のチューニングを兼ねながら、効果的な場所をカットアンドトライで探し出して、ビビリの影響が極力なくなるように工夫してください。
 
吸音のし過ぎは禁物
このページでは部屋のチューニングに関するいろんな手法を紹介しましたが、その多くは吸音材を使用します。
しかし、吸音材を使い過ぎると、音楽の力強さや伸びやかさ、活き活き感といった、音楽再生に大切な部分が削がれてしまって、つまらない音になってしまいます。

反射音は有害なものもありますが、楽器のエネルギー感を再現する上で大切なので、どの反射音が音を悪戯しているかをよく見極めて、悪影響を及ぼす反射音だけを最小限の吸音で上手に押さえ込み、楽器の力強さがうまく再現できる試聴空間を作り上げるよう心掛けてください。

お断り
音を極端に悪くするフラッターエコーや定在波の発生を防止するには、壁などを少し斜めにして、平行面をなくすことが最も有効ですが、それは壁を作り直すといった大掛かりな工事が伴いますので、ここでは割愛させていただきました。
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